2015.02.24 のニュース
元売販社SSの変心を問う
昨年末時点の元売系列SS総数は前年比3.6%減の約2万5500ヵ所、元売社有比率はこの10年間で最大の24.2%となった。05年末比では3割超のSSが減少した。この間、元売の再編やそれに伴う販売子会社・社有SSの集約化、系列離脱の動きも広がった。一方、セルフは年平均350ヵ所のペースで増え続け、10年間で8割増の7600ヵ所、セルフSS比率は1割強から3割へと高まった。セルフの過半は社有SSだ。
もちろん、社有SSは一般の系列業者も運営しているが、ここで指摘しておきたいのは、販社直営の大型セルフが元売の量販指向を顕著に体現し、中小系列SSの居場所をますます狭めているということだ。エネ庁の2013年度ガソリン供給ルート別販売シェアによると、販売店も含む「一般特約店」ルートは10年前の70%から59%へと大幅に減少したのに対し、「元売直売」は11%から22%へと倍増している。その間、「商社系特約店」「全農」ルートには極端な変化が起きていないから、一般特約店が失った需要が元売直売へと流れたかのように映る。系列SSや販売業界は、この実態を重く受け止めている。
構造的需要減の局面で、販社がガソリン内需の2割を握るに至っている。社有SSの集約化を図りつつ、元売にとっての少数精鋭を推し進めてきた成果であろうか。販社大型セルフの立派な設備や機能に相応の優位性があるのはともかく、腑に落ちないのは、採算ベースとは到底考えられないような売価がほほ恒常的にまかり通っていることだ。増して、「同系列店の同一商圏」に社有SSを新設して販社を登用したり、休止していたSSを再開して顧客移動を誘発している事例もあると聞く。
販社SSは「地域No1を目指して勝ち残るためのビジネスモデルを提案する」役割ともされてきたが、メーカー直営によるブランド展開としての顔を志すのであれば、そろそろ安値誘引とは一線を画し、“より高く買っていただける”方向へと大転換できないだろうか。「販社によるSS運営を規制すべき」。販売業者のここまで苦しい胸の内なる声は、元売に届いているか。他系列と競い合う以前に、自系列からの仕打ちに苛まれていると感じているSSも少なくなかろう。長年の系列取引関係を台無しにするような商行為と態度があるとすれば、残念に過ぎる。