日刊ニュース

2010.11.17 のニュース

元売ブランド料引上げで増益 ―業者、マージン減で配慮を求める―

元売の10年度上期決算が発表されたが、石油製品のマージンが確保されて黒字となり、大幅な増益となった。一方、販売業者からは「元売はマージンが確保されたが、われわれのマージンは圧縮されており、不公平である」との不満が出ている。
 元売のマージン増加は、各社の減産対応で需給がタイトになり業転市況が堅調に推移したため、これに連動して仕切価格も高値で推移、マージンが確保された。過剰設備問題を抱えているが、需要に見合った生産が行なわれ供給増が解消されたのと、ジェット燃料、軽油の輸出が好調であり、国内販売も微増となったことが好材料となった。
 さらに、上期中には元売各社が仕切価格を見直して新・新体系に移行した。コスト増としてブランド料の2円程度引き上げを行なっているため、元売のマージンが実質増加した。このブランド料の引き上げによるマージン増について、元売は「数字を把握していないが、大幅な利益増には繋がっていない。」とコメントしている。だが、ガソリン、中間留分では10円程度のマージンを確保したことになり、前年に比べるとマージンは5~6円は増加したことになる。前年度上期はマージンが少なく実質赤字となっていたため、これに比べると大幅な増益となった。上期は増販とマージン増で本業の石油事業で黒字となった。
 元売の新体系の仕切価格は、08年10月から新日石、出光が、週決め、業転市況にリンクさせることでスタート。その後は各社が追随して出揃った。導入直後は成果をあげたが、国内の需要の大幅な減少、過剰設備による供給増で業転市況が低迷したため、コストを回収できず赤字が約2年間続いた。元売も、ここまで赤字経営が続いたことで危機感が強まり、ブランド料(販売経費)を引き上げる新・新体系を打ち出したもの。コスモが今年4月実施で先行、その後6~7月には他社が追随して足並みが揃った。新・新体系への移行でブランド料、運賃などの経費を加算すると業転市況に対して4~5円の高値になり、元売系列玉を扱う販売業者(特約店)が不利になるというケースが出てきた。
 新体系の実施に際しては、業転市況にリンクする仕切価格となり、業転市況との価格差がなくなり公平な価格体系になるとみて、販売業者は歓迎したが、今回の新・新体系によるブランド料の引き上げで業転市況との問に価格差が生じることになり、不満が出てきたもの。
 しかし、今年の夏はガソリンが増販、市況も堅調であっため販売業者もマージンを確保して増益となり、満足できる水準を確保したが、ここにきて市況が下落してきたためマージンは減少してきた。
 現行の新・新体系では、元売は、業転市況にブランド料を含めた経費分を加算したコストを完全回収することができる方式となっている。元売の利益確保が前提となっており、裏を返せば元売は儲かるが、販売業者は販売価格が下落すれば損をすることになり、不公平であるとの不満が出てきた。以前の業転市況に連動する新体系では元売、販売業者ともに共倒れの赤字となるため、新しい方式を検討すべきであるとの意見も出て、元売はコストにブランド料を引き上げることにしたものである。

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE