日刊ニュース

2015.04.23 のニュース

半透明化した仕切りの成行き

足元、元売の系列仕切りが半透明化している。2008年に陸上現物指標・先物指標に連動した完全透明化ともいえる新仕切り体系のスタートから約6年半が経つ。この間、系列仕切り体系は大きく揺れ動き、現在もまた半透明化した仕切りが再び霧深く見えにくくなりつつある。
 08年以降、業転格差は石油販売業者が系列仕切りの透明度を測る1つの物差しになった。今年1月以降、系列仕切りは一気に建値化し、業転格差が拡大、一時は10円超という著しい格差が発生した。その対応として元売は数ヵ月にわたり、月末調整と称する個別対応の事後調整を実施した。系列によっては未だに2月の月末調整の話題が出るところもある。特に中小零細性の強い系列3者は疑心暗鬼が続いた。
 事後調整は販売業者に大きなストレスを与える。月末に事後調整されるのだから、実質の業転格差は拡大していないとの指摘もあるが、事後調整は全てに行き渡る訳ではない。自ずとしわ寄せは販売量の少ない中小に向かう。逆をいえば、量販しないと十分な事後調整はないと考えるのが、内需減の中でも業界の常である。
 激戦地では最終的な仕切り水準がわからない中、通知ベースの高い仕切りでほぼ粗利がないにもかかわらず、一部のPBSSや系列量販SSの作る安値市況に追随しなければならないSSも多い。事後調整がルール化していれば別だが、個別対応の月末調整では、元売のさじ加減ひとつでSSは赤字に沈む現実がある。
 新年度に入り元売の中に仕切り水準をリセットする動きが出た。陸上現物と系列仕切りの格差、いわゆる業転格差は一気に縮まった。そして、業転格差の縮小とは本来、月末調整の廃止もしくは調整幅の縮小を意味することになる。ただ、「いったん仕切り直したに過ぎない」(商社系)などいぶかる声は多く、実際4月中旬にはそれが現実味を増している。また、元売の中には月末調整の1~3月についても精販全体のグロスマージンは安定したと評価する向きがあるとも聞かれる。
 「セールスには系列仕切りの通知が建値化していること、今月の対応について早急に考え方を示すよう依頼した」(中堅系列SS)などの不満が出ている。透明と不透明のどちらに傾くのか、それとも半透明のままなのか、系列仕切りの変化は業界内に大きな影響を与えるだけに、その成り行きが現在、注目される。

提供元:全国石油商業組合連合会
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