日刊ニュース

2015.04.28 のニュース

大口C重油は値上げ局面に 原油上昇で大幅値下げから状況変化

 大口向けC重油の4~6月価格が打ち出された。LSC重油(電力向け)は、5万5140円/キロリットルで前期(1~3月)の5万4020円に比べ1120円の値上げ、HSC重油(一般産業油用)は4万9300円で1700円の値上げとなる。
 前期は原油価格の急落(約33ドル/バーレルの下落)を受けて約1万9000円の値下がりとなったが、原油価格も1月の底値から2月以降値上がりに転じてきたのと、為替が120円/ドル台の円安で推移したためコスト増となってきた。
 この打ち出し価格は、3~5月の原油価格、為替などのコストを基に算出されているため、足元の4月末から5月は推定となっている。そのため決着段階(7月以降)では、コストの変動が加味されるため、調整されることもある。
 4~6月価格打ち出しの原油CIF価格は、LSC重油の対象となる南方物は、57.6ドル/バーレルで前期比ほぼ横ばい、HSC重油の中東物は56.8ドルで1ドルの値上がり、為替は120.5円/ドルで1.5円の円安を見込んでおり、小幅な値上げとなる。
 原油価格(FOB)の推移をドバイでみると昨年夏場は110ドルであったが、今年1月には40ドルまで下落した。2月には50ドル台に値上がり、4月の足元は60ドル台に乗せており、値上がりとなっているが、先行きの見通しは難しい。「当面は60ドル台の範囲で推移する」(木村石油連盟会長)との見方もあるが、上げ、下げの要因は、絡んでおり、予測は困難でさえある。
 最近の値決め価格をLSC重油でみると、原油高を反映して26年1~3月が8万3050円/キロリットルの最高値となり、その後は下落して、10~12月には7万3880円へと約1万の値下がり、27年1~3月で5万402円で前期比で1万9860円の値下がりとなり、1年間で約2万9000円の値下がりとなった。
 最近の原油CIF価格の推移を貿易統計の数値でみても26年1月が7万4600円/キロリットルの高値となり、その後は7万円から7万1000円台で9月まできたが、その後は急落、12月が5万8000円、今年2月は3万7000円まで急落したため、通算で約3万8000円の値下がりとなった。3月では4万1000円と5000円の値上がりとなった。
 このCIF価格は、国内の到着ベースであるためFOB価格と比べると、1ヵ月は遅れることになる。ドル建ての価格も110ドル台が続き、今年3月は49ドル、4月は56ドルとなっている。FOBに比べると運賃、保険料が加算されるため高位となる。
 原油は急落して、ここにきて反発しているが、原油高の100ドル時代は、約3年続いたことになり、C重油高となった。原油高はLNG高となり、原発の停止で輸入量、輸入額が増加したため、貿易収支が赤字となった。そのため安価はLNGへの調達が課題となったが、原油価格の急落でLNG価格も値下がりとなり3月の貿易収支は黒字となった。
 LNGの値上がりは、電力料金の値上がりに反映することになり、家計、国内の製造業は電気料金の値上がりとなり、大きく影響した。
 製造業は、電気料金の値上がりでコストと競争力を失い、国内では撤退、海外移転が増加、ますます空洞化が進み、景気回復に水をさすことが心配となってきた。エネルギーミックスの議論も、電力料金の値上がりを抑えるためにも原油、LNGの安価な調達策が議論となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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