日刊ニュース

2010.11.18 のニュース

SS経営 継続問題は深刻化 ―地下タンクの補強費負担で減少に拍車―

SSの経営難が続いており、年間約2000ヵ所が減少している。このまま経営を継続するか廃業すべきかの判断を迫られている販売業者が多く、全石連・経営部会では「経営継続問題WG」を設置して検討に入っている。地方の小規模SS業者は、経営難で廃業するにも相談する相手もいない。そのため石商が窓口となり、専門の税理士、弁護士、経営コンサルタントなどと相談できるようにするとともに、SS継続問題についてのひな型を作成するなど、検討することになった。
 それだけSS経営の継続が難しくなっていることが実証されていることになる。SS数はピーク時は6万ヵ所あったが、現在は4万ヵ所に減少、その内セルフは8000ヵ所となっている。SS業界は成長期を終えて衰退期に入っており、将来展望となると厳しい。
 SSを取り巻く環境をみると、①ガソリンの需要は確実に減少する、②少子化、人口の減少、若者の車離れは浸透する、③HV、EV(電気自動車)の普及が進めばガソリン販売が激減し、現行のSS経営の継続は不可能となる、など悲観的な見通しが多い。
 そのため現在のSS経営者も、自分の息子に経営を継がせることに疑問を持つ人も増加している。以前はSS経営が働く割に利益があがらず、息子が引き継ぐことを拒否して後継者不足が問題となったが、最近は、経営難を理由に、次世代の若者が苦労するよりも、自分の世代で廃業するケースが増加しており、様変わりをみせている。
 HVの普及でガソリンの需要は減少するが、EVとなると、ガソリンの消費がゼロとなるためSS経営を直撃する。EV時代となれば、現在のガソリン販売中心のSS経営は不可能となり、深刻な見方が強くなっている。HVなどのエコカーの普及は2030年には50%を占めるという数字もある。
 直ちにEV時代が到来することはなく、ガソリン車の時代は当分続くとみられるが、これも20~30年先となると予測は難しい。技術開発の進歩は速く、環境が最優先されて、EV、燃料電池車時代が到来すれば、現在のガソリン販売が中心のSSは姿を消すという見方も出てくる。そのために現行のSSも新しいビジネスモデルを模索する時代に入っているが、簡単には転業もできず、苦慮している。
 さらに、当面の課題として、30年以上経過したSSのタンクは、消防法の改正による規制が強化され、タンクの補強が義務付けられることになった。このタンクの補強に多額の経蔵が必要となるため、この規制強化を機にSS経営をやめる業者も増加しそうである。
 タンクの補強で、タンク内に強化樹脂を張り付けには1基につき約180万円かかり、1SSに4~6基あるため、720万円~1080万円の費用が必要となる。これだけの費用をかけてSS経営を続けることに価値があるのか否か判断は難しい。
 アメリカでも、タンクの規制強化を機にSSが大幅に減少しており、日本も同じように減少するのではないかと心配されている。全石連では助成策を要望しており、経産省も来年度予算で22億円を要求している。

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