日刊ニュース

2015.05.28 のニュース

コップの中の長い廉売競争

ガソリンの廉売競争に歯止めがかからない。この競争激化は1996年3月末の特石法廃止による自由化以降すでに19年間にわたり続く。10年一昔という言葉があるが、それにならうともう二昔も前から廉売競争が常態化していることになる。
 資源エネルギー庁調査の登録SS数を96年度と直近値(13年度)を比較すると、5万9615ヵ所が3万4706ヵ所に激減、販売業者数も3万0032業者から1万7203業者に減った。いずれも4割超の減少であり、実に多くの販売業者が業界から去ったことになる。元売も同様だ。最多13社に達した元売数は現在7社体制に減り、今後さらなる再編で2~3グループに集約されるといわれる。精販とも実に多大な犠牲を払った。
 精販のマージン幅を比較すると、ここ数年は精製マージンが改善傾向をみせる一方、販売業界は低迷が続く。ただ直近は販売業界において事後調整の再復活が幅広く聞かれるようになっている。事後調整とは一度、精製・元売に吸い上げられた資金が再び販売業界に還流してくることを指す。調整幅は個別に異なるのが常だが、廉売競争で販売業界の赤字が膨らめば支援する対象の販売業者が増え、元売の負担が増すことは間違いない。
 そもそも自由化の皮切りとされる特石法廃止とはなにか。それまで元売に限定されていたガソリンなどの製品輸入が、備蓄義務などの条件付きだか自由化されたことである。当時は98年の有人セルフ解禁と相まって、割安な輸入玉がダイエーなどの異業種セルフSSに流れ市場環境が一変するという危惧が業界内にあったが、今から振り返ればそれは杞憂だった。
 14年度のガソリン輸入量は前年比9%減の150万㌔㍑、ガソリン販売量の占める比率は3%にとどまる。一方、異業種SSも勢力拡大したとは言い難い。今年は米国資本のコストコがSS建設を相次いで行うため注視する必要があるが、これまで業界に大きな影響を与えた異業種SSは大手ホームセンタージョイフル本田の8SSに止まる。その仕入主体は輸入玉ではなく国産玉である。
 二昔に及ぶ廉売競争もよく見れば石油業界内のコップの中の競争である。04年度をピークにしたガソリン内需減で、コップの中の水位は徐々に低くなっているが、枯渇する危機はない。精販両業界が真摯に対応すれば、業界健全化の道はまだあると考えるのが普通であろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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