日刊ニュース

2015.06.11 のニュース

地域コミュニティの中心に

1996年3月末の特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)の廃止など規制緩和を契機に、ダイエーやイオン、オートバックス、ジョイフル本田などの異業種が相次いでSSに参入した。これら新規参入業者によるガソリンなどの販売競争が激化した。さらに、98年4月にSSのセルフ化が解禁されると、セルフの急増とともに、全国のガソリン・軽油市況の下落に拍車がかかるようになった。ガソリンなどの燃料油マージンが1桁台に沈み込むなど、SS収益体質を著しく低下させる状況となった。
 冬場の収益源と位置付けられていた灯油も、ホームセンターの本格的な灯油市場への参入で価格競争が激化し、利益が減少している。
 こうした燃料油を巡る価格競争の激化や低マージン化が、皮肉にもSSの事業多角化や異業種進出の背中を押す結果となった。洗車やオイル交換、タイヤ、バッテリーなどの旧来からの油外商品に加え、近年は車検・整備、軽板金、新車・中古車販売、レンタカー、オートリースなど、SSとの関連性が高いカーアフターマーケットへの進出が目立っている。
 こうした新規事業に取り組む販売業者は燃料油販売に次ぐ収益の柱に育てようと奮闘を続けるが、事業が軌道に乗らず、投資回収が困難な状況も出ているようだ。
 石油販売業者がSSのプロフェッショナルであるように、石油販売業者が進出する先の事業にも当然、プロが存在する。新規参入する石油販売業者は、それぞれの事業領域に存在するプロたちと戦っていかなければならない。どんな事業でも商売である以上、片手間で成り立つことなど決してないことはご存知の通りだ。
 昨年7月にまとめられた総合資源エネルギー調査会石油・天然ガス小委員会の中間報告で、SSは「地域コミュニティを支える燃料供給の担い手として、地域における存続の要請が従前より強くなっている」と指摘。自動車関連の各種サービスや過疎地における日用品店・郵便局の併設、自治体との連携による地域活性化事業の拠点としての活用などの取り組みが期待されている。
 石油製品の安定供給という、長年にわたって背負ってきた社会的使命を全うしてきた石油販売業者の気概と覚悟が、SSを自動車関連事業などの様々なサービスや機能を顧客に提供する新たなコミュニティ拠点に変貌させていく力となる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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