日刊ニュース

2015.06.11 のニュース

原油は60ドル台で推移か シェールオイルと原油で需給保つ

 OPECは5日、ウィーンで総会を開催、生産枠を3000万/日の据え置きとすることを決めた。すでに予想されていたため、原油価格(ドバイ)で60ドル/バーレル台で安定して推移している。木村石連会長は「今回の決定は市場の想定通りであり、今後の原油価格は引き続き需給バランスや中東情勢など地政学的リスクを反応しつつ、現在の水準で推移すると思う」とコメントしている。
 原油価格(ドバイ)は昨年7月をピークに110ドル/バーレル台の高値が続いたが、9月以降は毎月10ドル程度が下落した。
 11月27日のOPEC総会では、値上げを見込み、減産するとの見方もあったが、生産枠を維持することを決めたため、総会直前の75ドルから一段と下落して今年1月には42ドルの底値となった。その後は反転して2月には55ドル(平均)、4月は57ドルに、5月以降は60~65ドルに値上がりしてきた。足元は62~3ドルと小幅下がりとなっている。
 原油価格の急落はOPECの価格政策が大きく変化した結果である。以前は原油価格が値下がりすれば、減産で対応して需給を締めて値上がりを見込むというパターンを繰り返し実施してきた。だが。米国のシェールオイルの増産を機に方向を転換したことになる。とくにサウジは、今までのスイングプロデューサーの役割を放棄したことになる。減産して原油価格が値上がりを狙っても、その直後に、減産分がシェールオイルの増産で相殺されることになり、減産の効果を期待できず、結局は敵に塩を送ることになる。
 原油価格は値上げすると、原油のシェアを失うことになるため、原油価格の値下がりを覚悟してシェールオイルを減産に追い込む方策を打ち出したことになる。結果的には、OPECは、生産枠を維持することで、原油価格は値下がりするが、採算割れでシェールオイルを減産に追い込むことに成功したが、中小の産油国は財政難となっている。我慢して乗り切ることになるが、40ドル台の底値を経験したことになるため、足元の60ドルを容認しているが、シェールオイルと原油価格との我慢比べが今後も続くことになる。
 一方、シェールオイルの開発は予想以に早く増産が可能となったこと、コスト回収が40ドルでも可能と競争力があり、増産が続くことになり、結果的には薄利多売の商法となってきた。下落で生産停止に追い込まれているプロジェクトもあり、減損処理など、投資に失敗して巨額な赤字を計上した企業も続出した。
 シェールオイルの増産は、約4年続いた原油価格の100ドル超えの高値時代に水をさしたことになる。当面は60ドル台で推移して、年末に向けて80ドルへ緩やかな値上がりを期待する見方が多いようだ。100ドル時代の到来は当分の間は見込まれない。
 元売は原油価格の急落で巨額な在庫評価損の発生で赤字決算となった。
 石油開発業界は原油急落が即大幅な減益となった。今までの100ドル時代をバブルとみて、投資するプロジェクトの見直しを行なっている。新規の投資計画は、足元の原油60ドルが前提となるため対象案件の選択は厳しくなる。開発中のプロジェクトも生産開始の時期の原油価格が問題となる。
 今後の原油価格の見通しは、地政学リスクが残っており、シェールオイルの生産余力による需給緩和とのバランスの状況下で安定して推移する。原油価格が値上がりすれば、シェールオイルの増産となる。
 日本は、LNG、原油価格が値下がりとなり、貿易赤字が解消されることになった。しかし、為替が125円/ドルと円安となり、円/キロリットルベースではコスト高となり仕切価格は円安値上げとなってきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE