日刊ニュース

2010.11.22 のニュース

過剰設備の削減こそ唯一の選択

我が国の石油産業が直面する最大の課題をテーマにした報告書が出された。エネ研「アジアの石油流通の現状及び価格形成メカニズム調査」だ。原油調達は別にして、精製元売・流通SSは国内完結型とされていたが、アジアの石油産業の動向が、日本にも決定的な影響を葉えるということが常識となりつつある。
 大型製油所の新設が続く中国やインドでの本格稼働によって、アジアでも精製設備の過剰問題が、いままさに浮上する段階にあり、我が国が誇っていたサルファーフリーの軽油なども、その製品優位性が早晩喪失される。高品質によって確保されていた我が国石油産業の競争力だが、設備・品質の両面から低下するのは確実な情勢だとしている。早急に手をつけなければならないのは国内の過剰設備の削減であるのは間違いない。縮小する国内需要に対応するだけでなく、製品輸出というカードを維持するためにもコスト高の過剰設備の廃棄は避けられない。
 過剰設備から否応なしに供給される業転玉が国内流通の阻害要因となっているのは、だれもが承知している。2年前から導入された新価格体系では業転価格が一つの指標として採用された。すべての販売業者に業転市場への自由なアクセスが保障されているなら別だが、過剰設備の結果として生じる業転価格が果たして指標として成立するものなのか。業転価格に元売の“言い値”であるブランド料などを加算される系列販売業者。“石油産業のメタボ体質”を抱えたままでは、国内流通市場の健全化は望むべくもないだろう。
 本紙では仕切り政策とブランドをテーマにした系列経営者による覆面
座談会(1日付)を掲載したが、「小売市場の無秩序を演出する元売」「マーケットからは回収できないブランド料」「不利益が生じれば、自己都台を連発し、我々から資本を収奪する元売」などの発言が続いた。元売ヒアリングでエネ庁は元売各社に新仕切価格について双方合意の改定を要望したが、実態は、「ほとんど担当者が資料を棒読みしただけ。疑問点を問い質すと、マニュアル通りの決まり文句。マーケットに対する意識が希薄になりすぎている」では互恵関係も成立するわけがない。
 再度言うが、過剰設備がある限り、日本の石油産業は沸騰するアジアに飲み込まれ、国内市場の混沌も一層その度合いを増すだけである。

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