日刊ニュース

2010.11.30 のニュース

実効性のある改正独禁法運用を

 長年にわたる廉売競争に終止符を打つため業界を挙げて運動してきた独占禁止法の改正が、今年1月に実現した。これにより全国の石油販売業者は正常な市場競争の実現を期待したが、成果が未だ現れてこない。
 不当廉売の申告受付件数について公正取引委員会は公表していないが、全国からの情報に基づいて全石油が把握しているところでは、改正独禁法が施行された1月に一気に申告が増えたものの、その後、次第に申告件数が減少し続けているとみられるのだ。  その要因のひとつは、申告に対する公取委の措置結果が「注意」止まりであることである。
 改正独禁法の施行を前に、公取委より示されたガソリン不当廉売ガイドラインでは、同じような廉売を繰り返す事業者に対しては「事案に応じて責任者を招致したうえで直接注意を行うほか、周辺事業者に及ぼす影響が大きいと考えられる場合には、厳正に対処する」とされた。
 さらに、厳正対処の結果、排除措置命令や警告に至らない場合であっても、責任者を招致するなどしたうえで文書により厳重に「注意する」ともされた。
 そのため、一度「注意」が行われた廉売業者が同じようなことを繰り返している場合に、改めてその後の情報なども添えて粘り強く申告をしているが、ガイドラインに示されたような強い描画が執行されていない。
 新ガイドラインではさらに、不当廉売の判断は「総販売原価」を基準とし、「供給に要する費用を著しく下回る対価」とは廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用、つまり仕入価格に仕入経費と販売費の一部を加えた価格を下回った場合が不当廉売となることが明確になった。
 このため、販売業界では通常の仕切体系ではあり得ないような安値店を、確信を持って何度も不当廉売だと申告しているのだが、「警告」や「排除措置命令」には至らないケースばかりなのである。
 その原因は、調査の仕方にあるのではないかという声がある。公取委は、不当廉売として指摘された対象事業者から仕入れ値などを任意で聞いているが、その事実関係の検証が十分でないのではないかというものである。
 我々石油販売業界は、公取委による実効性のある改正独禁法の運用と、新ガイドラインに沿った具体的な厳正処置を期待している。

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