日刊ニュース

2010.12.01 のニュース

元売はマージン確保で黒字 ―販売業界内部ではマージン格差拡大―

元売の上期の業績は、大幅に改善されて黒字決算となった。販売業者の業績も向上したが、価格競争が続き苦戦が続いている。元売は石油製品マージンが確保されているが、販売業者は低マージンとなっており、元売と販売業界とではマージン確保をめぐり議論となっている。また、販売業者内部でも、マージン差が拡大しており、SS経営をめぐって問題が生じている。
 元売は、ここにきてガソリンのマージンを10円/L以上確保している。石油製品マージンは精製費、販売経費、ブランド料、利益などが含まれるが、これらを加算して10円を確保できれば利益が見込まれる。元売の仕切価格は、業転市況にリンクする新体系を導入しているため、需給を締めて業転市況を高値で維持できれば、マージンが確保される方式である。
 新体系は、08年10月から導入された。だが、導入を機に原油価格の値下がり局面が続いたのと、供給過剰となり業転市況は下落、マージンが確保されずに元売は赤字が続いた。ようやく上期で需給が締まり業転市況が堅調に推移したため黒字に転換した。さらに今年4月からコスモが、6月からはJX日鉱日石エネルギー、昭和シェル石油が、7月から出光が価格体系を見直しブランド料(2円/L程度)の引き上げを実施したこもあり、黒字転換に寄与したことになる。
 一方、販売業者も、需給タイトを背景に市況は下落局面であったが大勢はマージンを確保した。だが、各地では価格競争が展開されており、依然として厳しい状況が続いているため、元売に対して不満が出ている。
 自由化時代であるため販売業者の自己責任が求められるが、経営難が続いているため元売の黒字に対して助成を求める動きある。
 元売は各社が利益をあげているが、販売業者側は、地域によってバラツキが生じている。とくにHC、量販店がある安値地区の周辺SSは厳しい。HC、量販店はマージンが5円でも経営ができるとしており、一般SSは10円以上が必要とされているため、
これでは勝負にならない。都心SSの掛売は20円が必要とされおり、SS間の体質に大きな差がある。
 HCの仕入れは業転市場からの購入であるため、系列仕切価格に比べると割安である。系列仕切価格は業転市況にリンクするが、業転市況に諸経費、ブランド料が4円程度加算される。そのためHCと一般SSとの問に仕入価格で4円の価格差が生じている。さらにHCはマージンが5円でよいとしているため、販売価格では10円以上の価格差が生じている。HCはノンブランドであるため元売との直接取引きがなく、商社系、大手販売業者から玉を購入しており、石油販売業界とのパイプもなく、対立した立場にある。
 HCは元売の系列に参画していないため、品質、安定供給の保証がなく、供給面では不利な状況にあるが、今まで供給が不足した例はない。ガソリン需給はタイトであるが、HCへの供給ルートは安定して確保されている。そのためHCは安値であることが定着してユーザーからも受け入れられており、周辺の元売系列SSは、価格面で太刀打ちができず、競争に敗れて撤退するしか方策がないというのが実態である。

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