2010.12.03 のニュース
SS減少過疎地対策を検討へ ―自治体との協力、国の支援策を求める―
SSの減少で疎地問題が表面化してきた。エネ庁でも検討しているが、国、地方自治体などが支援してSSを運営する方策などを模索することになる。石油業界では協力する余裕はなく、例によって予算措置が検討されるが、SSは減少を続けており、決め手になる方策はない。特に灯油の供給について、消費者の高齢化が進むことから、SSがその地域になくなることは、安定供給に支障が生じる。灯油の購入が難しくなり、生活ができなくなるという社会問題が台頭してきた。それだけガソリン、灯油は、生活に必要な商品であるが、一方では安価で販売されている。
SSが減少しても、ガソリンの場合は、不便ではあっても車を使い遠くまで給油に行くことができるが、灯油の場合は、高齢者となると配達に頼っているため、SS(石油販売業者)が減少することで安定供給が確保されないことになる。この過疎地問題は、すでに数年前から灯油懇談会等で消費者から指摘されていた。
SSはピーク時の6万ヵ所から4万ヵ所に減少しており、今後も減少することは確実である。さらに消防法の改正で、古いSSのタンクは高額な経費をかけての補強が必要となるため、これを機にSSの減少に拍車がかかることは必至である。
SSの減少は、自由化を機に価格競争が展開され、マージンの低下から赤字となり撤退、倒産が増加。現在も年間で2000カ所程度が減少している。さらにSSの減少に拍車をかけているのが、セルフSSの増加とガソリン需要の減少である。セルフSSは8000ヵ所を超えており、増加のテンポは緩やかになっているものの、1万ヵ所に達しそうである。セルフの増加はフルサービスSSの減少に拍車をかけることになる。その結果、SSは、今後も減少を続け、3万ヵ所は減少するとの見方もある。
元売もSSが多いとして、不採算SSの早期撤退を促し、それに代わりセルフSSの増加でシェアの拡大を狙っている。
また、原油価格急騰を機にガソリン価格が高騰したが、離島ではガソリンが大幅な割高どなり価格問題が発生した。この離島問題は、輸送費などコスト増が問題となるためで、コスト軽減を狙って共同輪槽所の建設に国が補助することで対応している。離島問題は、販売価格が他の地域に比べて高値という固有の問題であり、コストを削減することで助成策を講じることになった。価格面では、高値分を国か地方自治体が負担することは難しい。
過疎地対策は、民間企業では採算が乗らずSS経営者が撤退しているため、誰が肩代わりするかにかかっている。市村町がSSを運営するのか、補助金を出して民間業者に運営を委託する、などの案が考えられる。
石油業界の対応は、規制時代には「低廉かつ安定供給」を旗印にして石油製品の販売に取り組んできたが、自由化を機に、不採算な地域では商売をせずに、採算を優先する商法に転換しており、時代の流れを元に戻すことはできない。効率を追求して大量販売が主流となっている現在の商法であれば、過疎地問題が提起されても販売業者が協力する余裕はないのが実情である。