2010.12.06 のニュース
週動向調査 ガソリン1円値上がり ―ユーザー転嫁には好材料―
石油情報センターの週動向調査(29日)によると、ガソリン価格は123円50銭/Lで前週に比べて20銭の値上がりとなった。20銭の値上がりでも、四捨五入で統計上では133円となり、1円の値上がりとなった。1円の値上がりは、仕切価格値上がりの未遂分を回収したことになるが、あくまでも統計上の数字であり、市況実態をよく分析すべきである。
しかし、この1円の値上がりで弾みがつき、ガソリン市況が値上がり基調で推移することが期待される。最近の販売業者は、この調査価格を参考にしてユーザー転嫁に取り組む動きをみせている。「1円の重み」という言葉もあり、1円の値上がりは、今後のSS経営には好材料となることを望みたい。
同様に軽油は112円90銭で20銭の値上がりとなったが、四捨五入では113円で横ばいとなった。ガソリンと軽油との価格差は20円となっている。灯油のSS店頭価格は77円30銭で10銭の値上がりとなっている。
ガソリン価格は前週の132円20銭が5週間続き、132円相場が10~11月の約2ヵ月続いたことになり、安定して推移している。原油価格は10月のWTIが82ドル/バーレル、中東物が81ドル、為替が82円/ドル、11月のWTI、中東ものが各84ドル、為替は84円でコストは増加している。
一方、ガソリンの仕切価格は、10月は週決めの加重平均での算出では1円20銭の値上げ、11月は横ばいとなっている。この間、原油価格は80ドル割れから88ドルヘと、90ドル超え寸前まで大幅に変動したが、平均すると80ドル台の価格帯の中で推移した。
そのため仕切価格も、値上げ値下げが繰り返された。末端市況は安定して横ばいで推移したことになるが、未達分は残った。原油価格が高騰したため仕切価格が値上がりとなり、ユーザー転嫁を準備したが、その直後に原油価格が急落してユーザー転嫁を見送ることになるケースも発生した。
仕切価格は週決めであるため、小幅な変動が繰り返されており、値上げ分は、ユーザー転嫁が見送りとなり、販売業者は未達分を残している。10~11月の2ヵ月間で未達は1~2円となっている。このようにみると、29日の調査で1円値上がりしたことで、未達分を回収したことになるが、地域によっては値下がりしているため、引続き値上がりが浸透するのか、今後の市況動向をみないとはっきりしない。
首都圏のガソリン市況の実態をみると、街道沿いは120円割れの安値も散見されており、中心値は125~7円、都市部は130円となっている。販売業者は安値物を130円台に乗せることを狙っている。仕切価格は値上がりとなっているが、街道沿いの価格競争地区の市況は下落しているのが実態である。
それでも、最近は情報センターの週動向調査価格を指標にしてユーザー転嫁するケースも増加しており、調査価格でガソリンが1円の値上がりで12月商戦に入ったことは好材料となる。12月は増販を狙っての価格競争が心配されているが、販売業者の冷静な対応が求められている。
ここにきて原油価格は値上がりに転じ86ドル、為替は84円で推移、コスト高となってきた。