日刊ニュース

2010.12.07 のニュース

見えてきた双方の利益

良化の足跡が顕著に現れた元売の1-9月、4-9月業績について、残念ながらこれを心の底から祝福できない系列SSが多くいる。特にV字回復となった7-9月の元売収益は、低収益にあえぐ系列事業者の神経を、逆なでする方向となった。
 「系列SSの収益を削り取り、それを自らの収益かさ上げに用いることと同義」と系列SSから表現された「改定・週決め仕切り方式」に対する予言。それがそのまま出現する一方で、盛夏の小売市場では、ガソリン内需拡大の多くを、同じ製油所と油槽所を経由した仕入・物流ルートにあるPB量販SSが占有してしまった。系列SSからは、ほぼ怒りと同質の先鋭化した意見が出るようになった。その火種がくすぶるところに、元売のみが、我が世の春を謳歌する数字が出て、ほとんど発火寸前の様相を伝える意見が多く届く。
 7-9月の元売業績を崩さずに、系列SS収益も、その良化トレンドに沿って浮上する。石油販売業者の主流が系列SSを主軸とする以上、こんなシナリオが描ければ、これに勝るものはないだろう。また、すでに情緒的な関係は風化しつつあっても、元売にしても、系列SSを置いて、自分だけが良化の道を突き進むことは、精神的にも、道義的にも、気分の良いものではないだろう。
 恐らく「言うは易く、行うは難し」の典型だろうが、卸市場で最大の売り手である元売はほぼ大手5社に限定される。一方の買い手は商社やらもいるだろうが、塊としては間違いなく系列SSが最大占有率となる。
 全石連経営部会でも、仕切り政策の問題点について議論を深めている。これまでの経緯を踏まえつつ浮上している卸体系の理想像は元売の収益構造を大きく傷つけず、PB間の取引値である業転指標が原油見合いで底上げされ、現状の週決め仕切り方式による仕切り実勢がPB向け業転実勢に近くなる姿である。PRと系列の格差が縮小することが第一歩で、さらに需給が極度に引き締まった際には、過去に幾度も出現したように、業転高が出現する仕組みの構築が次のステップである。
 需給が極端に緩めば、元売の収益が削られる。需給が締まれは、元売の収益が極大化し、さらに小売市場において系列SSが比較優位性を増す。双方の理想的な仕切り政策の方向性が、この方向にあることは間違いない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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