日刊ニュース

2010.12.09 のニュース

原油90ドル相場の新局面 石油業界 対応は急務に ―ユーザー転嫁に取り組みを―

 原油価格は急騰しており、元売、販売業者は12月対策が急務となってきた。WTIは89ドル/バーレル台が続き、90ドル目前となっており、ブレントはすでに90ドル台に乗せている。今までの「70~80ドルの価格帯」から「80~90ドルの価格帯」へと変動している。原油価格の上昇は、ドル安、アメリカの景気回復、株安が影響しているようである。それでも、原油価格の見通しは難しく、90ドル相場が形成されそうであり、コスト高によるユーザー転嫁は必至の状況である。上期の原油価格は値下がりとなったが、下期入りとともに値上がりに転じている。WTIの平均で見ても9月は76ドルであったが、10月は82ドル、11月は84ドル台へと値上がり、12月で90ドル台に迫っている。原油は確実に値上がりしているが、ガソリンの末端市況は下落しているため、販売業者のマージンは減少している。
 原油価格は値上がりしているが、ガソリン市況は下落気味である。
 石油情報センターの週動向調査(29日)では、10月から横ばいで推移していた価格が133円/Lとなり、前週に比べて1円の値上がりとなった。
 だが、首都圏などの実勢市況は低迷が続いている。HC、量販店は119円と120円を割っており、プリペイドカードでは3円割引きが目立っている。実売価格は120円割れも多いのが現状といえる。
 そのため、安値を130円台に乗せる動きが出ているが、12月はガソリン商戦のヤマ場であるため、販売業者も増販を期待していることから、ユーザー転嫁は微妙な状況となっている。
 しかし、原油が90ドル台という新しい局面に入ることになれば、状況は一変する。当面の原油価格動向が注目されるところである。
 原油高は08年の夏に経験しているため、さほど注目を集めていないが、90ドル台となれば、経済的にも影響が心配される。
 景気回復の減速が心配される時期に原油急騰となれば、その影響は大きくなる。ガソリン販売も夏場には増加し、上期は増販となっていただけに、原油高で不況となれば、減販も心配されるのとマージン減が重なることになる。今後の原油価格の動向が一段と注目される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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