2010.12.13 のニュース
寒冷過疎地のクルマ所有者
地球環境対策へ振り向けるための予算は今後、増え続ける方向にあることは間違いないだろう。一方で、ガソリンや灯油を含む化石燃料は自然減とともに、その数量が抑制される政策発動が予見される。
その第一弾新政策の位置付けとなる地球温暖化対策税案の詳細がしだいに明らかになってきた。ガソリン、灯軽油にリットル0.79円が、「石油石炭税」と同方式で課税されるという。環境省試算による1世帯当たり平均負担額は、ガソリンは年500円ほど、灯油は200円ほど負担増になるという。
これをクルマ保有者に適用すると以下のようになる。クルマはガソリン車に相当する乗用車が約5800万台、ガソリン内需も約5800万KLだから、答えは極めて単純、ガソリン車保有1台当たり790円ほど負担が増えるということになる。
灯油はやや難解だが、想定は出来る。灯油燃焼機器の耐用年数を12年として弾き出した石油システム中央推進協議会データによると、暖房機器が6000万台、給湯器は600万台となる。他の用途もあるが、6600万台が2000万KLを使用するとすると、年303Lで240円の負担増となる。
クルマは通勤や日常生活に使用するハードユーザーもいれば、週末ドライバーもいるから、かなり激しい多寡が生じるだろうことは予見できる。前者は地方部に多く、後者は都市生活者という分類もできる。クルマを所有しない世帯を含む総務省09年平均値では、最少の大阪市民と最多の山形市民のガソリン使用量格差は8.2倍。県庁所在地でさえ、こうした格差が生じている事実から、過疎地と大都市の格差は、この比ではないことも容易に想像がつく。
灯油はさらに大きな格差がある。同調査では、最少の川崎市民と最多の青森市民の格差は、なんと63.4倍になる。都市ガスがある青森市でさえ、この格差が生じるのだから、LPガス地域の寒冷地との比較では、さらに巨大な格差社会が浮上するだろう。
クルマを有する寒冷地のLPガスエリアの住民は、この新たに負荷される0.79円部分が、クルマを持たないオール電化生活者と公平な負担増となることを望む。できることならば、必需である地方のガソリンと灯油を軽減し、選択肢が多く高所得でもある方々に、多めに負担願いたい。これが本音であろう。