2010.12.13 のニュース
原油90ドル見合いの相場づくりを ―ユーザー転嫁で状況変化―
石油情報センターの週動向調査(6日)によると、ガソリンは132円90銭/Lで前週に比べて40銭の値上がりとなった。四捨五入では133円の横ばいとなっている。経産局別でみると北海道は135円、東北は132円、四国は133円となり、各1円の値上がりとなった。東京は134円20銭で20銭、神奈川は131円90銭で80銭の各値上がりとなり、全般的に値上がり傾向が顕著になっている。
この調査価格はSS店頭での現金価格であるため、会員価格、カード会員価格などの実売価格となると2~3円安となる。12月入りで年末商戦の最中であるが、原油価格の値上がりからユーザー転嫁に取り組んでいることになる。軽油は113円30銭で40銭の値上がり、灯油(SS店頭)は77円70銭で40銭の値上がりとなっている。
原油価格はWTIで9~10月が76ドル/バーレルであったものが、ここにきて88~89ドル/バーレルと高騰している、中東物は88ドル台で推移、ブレントは90ドル台に乗せている。このように原油価格は90ドル相場となり、新しい局面となってきた。そのため末端市況も90ドル見合いの相場づくりが求められている。90ドル相場となると、ガソリンは138円/L程度の相場が見込まれている。今年5月はガソリンが139円という高値であったが、その時期の原油価格は4月が85ドル、為替が93円/ドルの原油高、円安であった。足元の原油価格は88ドル、為替が83円という円高となっているが、コスト高となってきた。
しかし、現在のHC、量販店などのガソリン販売価格は120円前後の安値で販売されている。街道沿いSSでは125円が中心値であり、これらの安値を130円台に乗せることがカギとなる。
下期の見通しは原油価格が80ドル、為替が80円/ドルを前提としていたが、足元では原油価格が88ドル、為替が83円程度で推移しており、コスト高となっており、状況は大きく変化してきた。コスト高により仕切価格は値上がりしているが、ユーザー転嫁が遅れており、販売業者のマージンも減少している。ガソリンの末端市況は、10~11月では値下がりをみせており、12月も市況維持が精一杯とみられていたが、ここにきて、原油価格の急騰で状況が大きく変わってきた。
今年のガソリン市況は5月が139円であったが、その後は連続して値下がり、11月では132円まで値下がりした。ここにきて反転して133円に戻している。一方、原油価格はWTIで4月が85ドル(平均)であったものが5月で74ドルに下落、その後は75~76ドルで9月まで推移した。上期は値下がりが続いたが10月に82ドル、11月が84ドルと値上がり、4月の水準に戻した。12月入りで88~89ドルと急騰して90ドル超えが見込まれる状況となってきた。
上期は原油価格の値下がり局面であったが、末端市況は維持されたため、元売、販売業者ともにマージンを確保できた。そのため上期の決算は増益となったが、下期はマージン減が心配されている。下期は灯油を中心に需要期であるため増販が見込まれ、増販で若干のマージン減はカバーできる。だが、原油価格の高騰によるコスト増は、ユーザーに完全転嫁して適正利益を確保すべきである。