日刊ニュース

2010.12.14 のニュース

先願主義か入札制かを議論 ―鉱業権の許可要件新設も―

経産省は鉱業法の改正を狙って、総合エネルギー調査会・石油分科会で審議することになった。具体的にはWGで検討することになる。鉱業法は昭和25年に施行されたが、その後は改正されずに今日におよんでいるため、時代に即した法改正を行なうことになった。
 世界的に、資源需要の高まり、資源価格の高騰、資源ナショナリズムが台頭するなど資源獲得競争が激化しており、日本も資源獲得競争の対象となる可能性が生じてきた。そのため、内外の環境の変化を反映した新しい制度を確立することになる。最近では東シナ海での中国による資源探査、国内周辺海域のメタンハイドレート等の開発にも関心が高まっており、また、メキシコ湾での原油流出事故にみられるような対応策、規制などのあり方が指摘されていること、などを受けたもの。
 現行の鉱業法整備の面での問題点としては、①鉱業権(鉱区取得)の設定に際して先願主義を採用しているのと、開発主体の適格性を担保する規制が存在しない、②資源探査に係わる規制が存在しない、などの点があげられている。
 鉱区取得に際して日本は先願主義を採用しているこの方式は、出願した土地の区域が重複するときは、先に出願した者が優先権を有する制度である。能力に係わらず、一番初めに申請した出願者が優先権を有する。諸外国はほとんどが入札制度であり、国が、開発主体の資金力、技術的能力、事業計画を確認して決定している。
 国内の鉱業権の設定手順は、鉱業権を受けようとする者が、経済産業局長に出願して許可を受ける。許可は、①経済的な価値がない、②公共の福祉に反する場合は、許可できないことになるが、許可要件は存在しないため、許可要件を新設して厳格化すべきとの見方も出ている。出願者は日本人、日本国法人となっており、国の主権とも絡むため外国人を認めていない。審査は書類の形式審査で行なわれている。そのため一度、鉱業権を取得すると、ほぼ永久的に権利を保有することになる。
 鉱業権には試掘権と採掘権の2種類がある。試掘権は鉱物の有無、品質、稼業の適否を調査するもので、存続期限は2年間であり、2回に限り延長が可能であり、石油については3回までとなっている。採掘権は、鉱物の存在が明らかであり、採掘に適する場合、本格的な鉱物の採掘を行なうため、期限は無制限となっている。
 その結果、国内で石油の鉱業権を保有しているのは、国際石油開発帝石と石油資源開発が大半を占めている。鉱業法が施行された後に、国内の石油資源開発に取り組んだのは、この2社となっているためである。
 このような先願主義か入札制度かを検討するが、入札は、国が区域を指定し、参加者を募り、最も条件の良い事業者を選別する制度となっている。政府が事業者の技術、財務力をみて決定するが、国の介入が強化されるのと、許可要件をどこまで厳格化するのかが問題となる。
 また、現行の鉱業法では、資源探査行為については、一切の規制がない。しかし、資源探査行為は、鉱業権の設定前の開発準備行為であるため、国内の資源を適正に維持、管理ができる実施主体を確認できる許可制を導入すべきとの意見もある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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