日刊ニュース

2010.12.15 のニュース

マージン確保より増販か ―12月のガソリン商戦は流動的―

 ガソリンの仕切価格は10月以降の累計で2円/L強の値上がりとなっているが、末端価格は1円の値上がりに止まっているため、1円は販売業者のかぶりとなっている。適正マージン確保のために値上げすると販売減につながるため難しい状況にある。増販かマージン確保かの二者択一となると、12月は増販を追求することになりそうである。今のところ末端市況は小幅な値上がりをみせているが、据え置きとしているSSも多い。
 石油情報センターの週動向調査(6日)によると132円90銭で、四捨五入では133円となり、10~11月は132円であったため、これに比べると1円の値上がりとなった。
 原油価格はWTIで88ドル/バーレル台で推移しているため、仕切価格の値上がりが見込まれている。販売業者もユーザー転嫁に取り組んでいるが、12月はガソリン商戦のヤマ場であるため微妙な状況にある。ガソリン需要は減少傾向にあるため12月も減販を心配するむきもある。
 原油価格が高騰し、今後90ドル台乗せとなればユーザー転嫁に取り組むが、今のところ据え置きとなっている地域もある。結果的にはマージンが減少しても販売数量の確保を優先している。ガソリンの業転、先物市況は値上がりして55~56円/Lとなってきた。原油価格の値上がり局面であるため、先物が先行して値上がりしている。為替も83~84円/ドルで推移しているためコスト高となっている。
 ガソリンの販売数量は、上期では夏場が猛暑のため増販となったが、これは一過性のものとみられている。下期は減販傾向をみせているため、販売業者も減販を心配している。それでも、下期入りで、年末年始は需要期となり、通常よりは増販が見込まれる。とくに街道沿いSSは、帰省、レジャーなどでの需要増が見込まれている。一方、都心部のSSは、対象となる会社が休みとなるため、減販となり明暗を分ける。
 そのため価格競争が展開されるのは街道沿いSSとなり、安値で増販を狙うことも予想される。今のところ販売数量に極端な落ち込みはなく、市況は安定している。だが、不況で、ボーナスの支給も減額となり、個人消費が落ち込むと、車の利用も減少、ガソリン販売数量が減少する。
 政府の景気対策であるエコポイントなどで消費は支えられているが、これらの対策は消費の前倒しであり、期限が切れると景気後退が心配される。政府による補正予算の実施、来年度予算、税制改正で景気浮上が見込まれている。景気回復を期待しているものの、予算編成でつまずくと不況の長期化が心配される。
 以前のガソリン販売は景気に影響を受けることは少なく、不況に強い商品であった。だが、最近は、ユーザーの節約志向が目立ち、不況になると即減販につながる。それだけ若者の車離れ、車の利用が減少しているためである。車を利用したスキー、遠出の旅行が減少、高速道路の割引き効果も減少している。
 このように見ると、HV車、EVの普及からみて今後も減販は必至である。今まではピーク時の6万SSが多過ぎるため、適正な数に減少するとしていたが、すでに4万SSとなった。さらに1万SSが減少して3万SSとなるとの見方もあり、減少し過ぎて、過疎地問題が浮上している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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