2010.12.15 のニュース
元売・業者 マージン減少 原油高も末端転嫁が遅れる ―円高でタイミング失う―
原油価格が高騰してコストが増加しているが、ガソリンなどのユーザー転嫁は遅れており、元売、販売業者はマージンが減少している。原油価格は、WTIでみると9月の平均が76ドル/バーレルであったものが、8月が82ドル、11月が84ドル、12月入りで88ドルに値上がりしている。原油価格は9月に比べ約10ドルの値上がりとなっている。為替が一時、80円と円高となったが、最近は83~84円と円安になっている。一方、ガソリンの末端市況は、石油情報センター調査では、9月は133円、10~11月が132円の横ばいとなっており、12月で133円で1円の値上がりとなっている。為替は9月まで円高で推移していたが、その後原油の値上がりでコストが増加したため、元売も仕切価格の値上げを通告した。11月に入って為替が円安に転じたためコスト増となったが、ユーザー転嫁が見送りとなるケースも出て、結果的にはマージン減となっている。
原油価格は値上がりしたが、ユーザー転嫁は遅れており、元売、販売業者ともマージンは減少している。上期の石油各社の決算は石油製品マージンが増加して久し振りに黒字となった。販売業者も同様に黒字となったようである。
しかし、下期に入って原油価格が高騰してきたが、一時、円高に転じたこともあり、ユーザー転嫁のタイミングを失うことになった。12月に入り、原油 価格が急騰してWTIで88ドルで推移しており、コスト高となっているが、ガソリンのユーザー転嫁は遅れている。1円の値上がりとなったが、未達分が残っており、これから値上げに取り組むかどうか微妙な状況にある。
販売業者はマージン確保よりも増販を狙っており、末端市況を値上げるのか、このまま横ばいで対応するか、原油価格、為替の動向をみている。いずれにしてもユーザー転嫁の遅れで元売、販売業者のマージンは減少している。12月はガソリンの増販でカバーできるとみているが、今後も低マージンが続くと赤字となるため、早急に市況立て直しが求められている。
年末年始は市況維持で対応しそうであり、原油価格が上昇するとマージン減となり、コスト増加分はかぶりとなる。