日刊ニュース

2010.12.20 のニュース

石油業界にブランドはあるか

 石油業界の「系列」は終戦後、販売業者に販売地域を優先的に付与し、その対価として元売が石油製品の供給を約束する特約販売契約がルーツとされる。特約店は広範な地域での独占的な販売権を確保し、製品の貯蔵や域内輸送も主に担当していた。SS建設も特約店の資金に負うところが大きく、元売は有力特約店の協力により、自らの系列SS網を拡大することができた。まさに「Win-Win」の関係であった。その後のモータリゼーションによる乱設に近いSSの急増、元売資本の増大と物流の一元化、商社などの新規参入、さらに規制緩和によって、元売と系列業者の関係は変化していったが、新・新仕切り体系が登場した現在の「系列」はどのように表現すべきものなのか。
 石油業界の「ブランド」をテーマに、全石連の会議で講演した上原征彦明大教授の分析は示唆に富む。上原教授は石油業界の価格競争体質の一因としてブランドカの低さを指摘し、差別性・優位性を高めるブランド・プレミアムがないと言う。そうした状況を招いているのが、元売の過剰生産体質から供給される業転玉だとし、「プレミアムの低いブランドには使用料を支払う根拠は希薄」とも語った。そして、「元売は業転を流すことによって自らブランド効果を毀損している。メーカー主導型系列チャネルの基盤そのものが崩壊過程にある」との見方を示した。新・新仕切り体系で“ブランド料”を大幅に引き上げた元売だが、上原教授には、このような動きが元売自ら「系列」を否定しているかのように映っているようだ。
 10円レベルに陥っているSS粗利の中で、業転プラス4円の新・新仕切り体系は系列業者の切り捨てに近い。系列SSは今年3月末からの半年間だけで釣700ヵ所も減少し、9月末にはついに3万ヵ所を下回った。4円ものハンディキャップを負わされては、系列SSの生き残る道はさらに狭くなる。一方、PBは確実にシェアを高め、いまや全SSの4分の1になった。系列SSの減少とPBの増加は元売にとって「系列」の維持コストを圧縮する具体策であり、ガソリンの元売直売比率がこの10年間で2倍以上も増大したことが、それを如実に示している。
 石油業界に真のブランドがなく、元売自身が「系列」維持への意欲を失ったとしか言いようのない時代に、我々はいかに臨むのか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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