2010.12.20 のニュース
石油 景気低迷の影響は少ない ―減販を前提にマージン確保を優先―
経産省は、15日に全国経産局長会議を開催、主要企業の業況や見通しを検討したが「地域の景況は弱含みに推移している。引続き、今後の悪化が懸念される」と報告された。「各地域で下方修正、政策効果の剥落や為替動向(円高)等の先行きが懸念される」としており、各調査機関も同じ見通しとなっている。
景気対策のエコポイント制度見直しで、薄型テレビの駆け込み需要もあるが、エコカー補助金の終了による新車販売の減少、輸送機械の大幅な減産、それに関連した鉄鋼や部品の減産など、生産は総じて横ばいか減産傾向となっている。
このように、景気の後退が心配されるなか、補正予算の執行による景気回復、雇用の拡大が期待されるが、石油業界への影響も注目される。しかし、石油業界は景気の影響を直ちに受けることが少ない業種であるため、景気動向をそれほど心配することはない。だが、石油需要の基調は減少する方向にあることは認識すべきである。
下期の販売数量は、前年比ではマイナスが見込まれているが、需要期であるため、上期に比べれば増販となる。販売業者は下期で増販を追求するが、販売減が続く状況下では増販にも限界があるため、ここは数量よりも利益を優先すべきである。幸い、下期に入っても需給はタイトな状況で推移している。各社とも上期からの減産対応を順守しており、石油製品の在庫は低水準で推移している。
そのため、市況は安定しているが、ここにきて原油価格がWTIで88ドル/バーレル台と高騰して、コスト増となっており、ユーザー転嫁が遅れ気味で、マージンが減少している。
これから下期のヤマ場である年末年始のガソリン、灯油の増販キャンペーン時期に入るため、この期間中にマージンが確保されるか否かが、下期業績のポイントとなる。
上期は猛暑の影響でガソリン、C重油が増販となり、燃料油全体でも前年比で約2%増となった。石油製品の需給もタイトで推移したためマージンが確保され、上期の決算は元売が増益、販売業者も黒字となった、元売は2年間は実質赤字であったが、ようやく黒字に転換した。今までは石油開発、石油化学部門が黒字で、石油事業部門の赤字分をカバーしていたが、本業の石油事業で黒字に転換したことになる。
下期に入って販売数量は減少傾向をみせているため、今後の動向が注目されている。下期の焦点は灯油販売となるが、これは天候次第であるため予測は難しい。11月は早めに冷え込み増販が期待されたが、12月に入って暖かい日が続き出荷は伸び悩んだが、ここにきて寒波が到来したため、増販が見込まれている。それでも、電気、ガスヘの燃料転換が進んでおり、基調は販売減となる。もちろん寒波が長期化すれば増販となるが、今後の天候次第となる。また、冷え込みが続けば大口の暖房用の灯油、A重油の増販も見込まれる。
ガソリンも省燃費車の普及、若者の車離れ、節約志向の浸透からみて需要増は期待できない。年末年始での帰省、レジャー、旅行などによる車の利用増を期待している。ガソリンは販売数量の増加は難しいため、増販を狙った安値販売よりもマージン確保を優先した販売に取り組むべきである。