2010.12.20 のニュース
政府 環境税の創設決める 石油石炭税の増税で実施 ―小幅でユーザー転嫁は難航―
政府税制調査会は、来年度の税制改正大綱で環境税の創設を決めた。結果的には石油石炭税を増税するものであり、石油業界では、環境対策にはすでに1兆円もの予算を計上しており、その効果的な運用が先であり、産業活動、国民生活への影響を配慮すべきであるとして反対運動を展開していたが押し切られた。増税は段階的に実施するものだが、明年10月から原油・石油製品にはリットル当り25銭、その後76銭(760円/KL)に引き上げるもの。小幅な増税となるため、ユーザーへの転嫁も難しく、石油業者がかぶりとなる公算も強い。そのため、転嫁に対して厳しい状況が予想される。
環境税(温暖化対策税)は、昨年末の税制改正大綱で、「平成23年度の実施に向けて成果を得るべく、更に検討を進める」とされていたもので、今年の税制改正大綱で決定することになっていたもの。
当初は、環境省がガソリン税などの暫定税率分を充当するという案も出ていたが、経済産業省が石油石炭税の増税案を提示、これに乗ったかたちで決着がついたようである。
石油石炭税の税収は、経済産業省の所管するエネルギー特会に繰り入れることになる。
石油業界では、早くから環境省による環境税の創設には反対であることを表明していた。
温暖化対策基本法案も成立していない状況下で増税するのは問題であるとしていたが、財源確保が優先することになった。
排出量取引制度についても、近く政府の方針をまとめることになるが、COP16でも新しい枠組みが決まらず、環境対策は不透明となっている。
増税が決まったが、小幅であるため、ユーザーヘの転嫁は難しく、段階的であるが、最終的には約80銭/Lと、1円を下回る増税となるため、販売業者がかぶりとなる公算が強い。
石油製品の価格は、週決めで実施されており、原油価格の変動に連動しているため、1円弱の増税分は、通常の仕切価格改定段階で埋没することになりそうである。