日刊ニュース

2010.12.24 のニュース

環境政策とEV第2幕に注視

 地球温暖化対策の国際交渉・COP16が閉幕した。米国、中国、インドなど温室効果ガスの主要な排出国が削減義務を負わず、世界排出量の3割しかカバーしていない京都議定書の延長をひとまず回避し、公平かつ実効性のある新たな枠組みの構築を目指す合意に至ったことは、産業界の共同提言に沿った方向性であり、一定の評価を得た。なんと言っても「環境と経済成長の両立」が不可欠だ。
 一方、日本の中長期目標達成に必要な政策を体系化した地球温暖化対策基本法案はいまだ成立を見ないが、前提条件付きで2020年に90年比25%削減を目標に掲げ、基本原則で「エネルギー安定供給の確保」や「経済活動・国民生活におよぼす効果・影響についての理解を得る」としている中、政府税制改正大綱として“地球温暖化対策のための税”導入が閣議決定された。現行の石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せする。“特例”との位置付けだ。また、国・地方の財政事情が厳しく、地球温暖対策の観点も踏まえ、ガソリン税と軽油引取税も「当分の間」として措置している現行水準、旧暫定税率部分に当たるガソリン25.1円、軽油17.1円の上乗せを引き続き維持するという。つまり、かなりの額の環境目的課税を実質的に行い、低炭素化の諸施策に利用していくことになったといえよう。
 ガソリン車・ディーゼル車のユーザーには重税を課し続ける方向が見えた中で、リーフが市場投入され、アイミーブに続くEV第2幕が開けた。日産は、夜間電力契約だと1ヵ月500キロ走行で燃料代500円強しかかからないとアピール。中低速域の加速性能は3000CCガソリン車並で、政府補助金込みの車両価格が約300万円~。コンパクトカー・低価格車シフトが強まっている折、目論見通りに大衆車になりえるのかを注視したい。また、ホンダもEV・PHV、電動バイク、ソーラー充電ステーションなどの実証実験を開始した。
 EV時代到来とマスコミが喧伝する昨今だが、HV化やガソリン車の低燃費化も一層進んでいて、燃費リットル30キロに届くようなガソリン車が登場しようとしている。保有台数が伸びなくなったとはいえ、マイカー利用と無縁の生活が不可能な地域は全国各地にある。その必然性を鑑みれば、ガソリン車に対する偏見を看過してばかりもいられない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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