2010.12.24 のニュース
エネ研見通し 11年度 燃料油販売1.9%減 ガソリン3.0%、軽油2.4%各減 ―10年度では0.6%減を予測―
日本エネルギー経済研究所は2011年度の燃料油、11年の原油価格の見通しを発表した。燃料油全体では前年度比で4.49%減となる。油種別にみると、ガソリン販売は、エコカーの普及や軽自動車シフトに伴う燃費改善に加えて、前年の猛暑の反動減もあり、3.0%減と予測する(地球温暖化防止対策税、高速道路料金制度変更は織り込んでいない)。軽油販売も、貨物輸送の回復を見込むが、輸送効率の改善や前年の猛暑の反動減などにより輸送用需要が落ち込み2.4%減と予測する。ナフサは、エチレン生産で前年の定期修繕分が増加するため2.1%増を見込んでいる。灯油は、気温の想定により暖房需要全体が減少することに加え、家庭用暖房における電化の影響もあり4.3%減と予測する。A重油は、生産・輸送活動などの回復が見込めるものの、都市ガスなどへの転換が進み3.7%減と予測する。C重油は、電力用で原子力発電の稼働増などに伴い減少し、産業その他用でA重油と同様に燃料転換による減少基調が続くため、全体で4.4%減を見通す。こうしたことから、11年度の料油販売量合計は1.9%減と予測する。
原油価格(WTI)は「基準ケース」で85ドル/バーレル前後、「高価格ケース」では95ドル、「低価格ケース」では75ドルと見込んでいる。
「基準ケース」では、①世界経済は新興国に牽引され4%程度の成長を維持、先進国での景気腰折れもなく回復基調を維持する、②10年から続く米を中心とした金融緩和基調の下で流動性相場が維持され、石油先物市場にも資金が流入する、③経済成長の下、世界の石油需要は前年比140万バーレル/日前後の増加となる、④非OPEC原油生産は前年比60万バーレル/日程度増でOPECのNGLも増産傾向を維持、等を前提とした。
その場合、OPEC原油需要は10年比で20万バーレル/日程度増となり、需給は緩やかに引き締まる方向に向う。ただし、足下のOPEC余剰生産能力、石油在庫の水準が高いため、引き続き国際石油市場には十分な供給余力が存在し続ける。
これらの世界経済・金融情勢の下、石油需給も現状から緩やかに引き締めの方向に向かうことから、11年の国際石油市場では、原油価格は変動を伴いながら、10対比で変動レンジを切り上げる展開となり、結果として、WTI原油の年平均価格は85ドル前後(プラスマイナス10ドル)となる。
なお、流動性相場の下で、金融情勢や需給環境次第では短期的に原油価格が90ドル台後半から上値を目指す展開となる可能性もある。しかし、過度の高価格と低価格に対する市場関係者の警戒感が存在し続けることから、引き続き一定の上限・下限の存在の下での価格変動となる可能性が高い。