日刊ニュース

2011.01.06 のニュース

石油業界今年の課題 “設備問題に決断を”需要減でもマージン確保

平成23年が、いよいよスタートする。今年も石油業界にとっては、需要減が続く状況下で、いかにマージンを確保するかが、最大も課題となる。昨年は猛暑となり、フォローの風が吹き販売増となった。各社も需要に見合った生産で対応したため、需給がバランスして推移、元売、販売業者が共にマージンを確保した。その結果、上期の決算は黒字となったが、この黒字を今後も継続できるかがカギとなる。昨年末には原油価格も90ドル台に乗せており、再び高価格が予想され、コスト増をユーザーに転嫁することがポイントとなってきた。政策面では、各社は設備処理問題に着手することになる。目標は2013年度末までとなっているが、そのためには、今年中には方向が出るものとみられる。製油所の閉鎖を伴うため特別損失・土地減損処理、地元対策、雇用問題が縮むため簡単ではないが決断が迫られている。
 原油価格が90ドル台に高騰しており、100ドル説も出てきた。2年ぶりの高値となり、再び1年の高騰を予想するむきもあるが、見通しとなると難しい。一般的には、中国などの新興国の石油需要増、先進国の景気回復、アメリカの金融緩和策で投資資金が商品市場に流れる、ヨーロッパの寒波の到来、などがあげられている。
 原油価格の高騰で12月の仕切価格はガソリンが約2円/L、中間留分が3~4円の値上がりとなっており、販売業者もユーザー転嫁に取り組んでいる。さらに1月も仕切価格の値上げが予想されている。ガソリンのユーザー転嫁は遅れ気味であったが、ようやく浸透してきた。
 販売業者も安値攻勢をかけるケースは減少しており、需給がタイトで推移しているため、市況は安定している。だだ、週決めによる仕切価格の改定が小幅となると、ユーザー転嫁が遅れることになり、マージンが減少する。ユーザー転嫁の単位は、今までの商慣習では2~3円となるため、どうしても販売業者のかぶりとなる。そのためには今後は1円単位での値上げも必要となる。
 設備処理問題は、エネルギー供給高度化法で実施となるため、各社の対応も選択肢は狭い。重質油分解装贋の装備率で決めているため、すでに目標を達成している会社もある。法律で決めているため、待ったなしである。自由化の時代に法律で規制するのは問題であるとの意見もあるが、すでに施行されている。
 各社も今年中には、中期計画を策定することにしており、その段階で方針を決めることになる。過剰設備が解消されれば、自然体で需給がバランスして、マージンが安定的に確保されることが期待されている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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