2011.01.14 のニュース
今年は油外収益向上に再挑戦 ―元売もSSの安定経営を目指す―
SS経営の健全化を図るには、ガソリンでのマージン確保が第一であるが、長期的に安定化させるには油外収益の確保も重要であることが再認識されてきた。そのため今年の元売のSS戦略では油外収益の確保に再度挑戦する動きが出てきている。
油外収益はオイル、タイヤ、バッテリーの販売、車の整備などがあげられる。車はガソリンの給油に必ず来店するため、そのチャンスにカーケア商品を販売することで利益を確保することを狙うのは商売としては当然である。
しかし、カー用品の専門店、タイヤメーカーが運営しているタイヤ専門店などのシェアが拡大している。規制時代では、SSでのガソリンマージンは20円/L以上もあり、ガソリンの給油のみで十分経営ができたため、油外収益を追求せずに今日に至った。すでにユーザーはSSから離れており、これを呼び戻すには、相当の努力と工夫が必要となる。カーケア商品の市場は拡大を続けており、SSサイドもシェア奪還を狙うべき時期にきている。
元売サイドもSSを減らしてシェアを失うことに危機感を強めており、SSの生き残りをかけて、油外収益をあげることに力を入れることになった。SS間の競争は販売価格が一番であったが、最近ではサービスを求めるユーザーも増加しており、ユーザーの志向も変化してきた。もちろん価格を優先してHC、量販店の安値を求めるユーザーも多いが、ガソリン価格が安定してくれば、価格よりサービスを求めるユーザーも増加してくる。
元売は、昨年11月から新モーターオイルを発売しており、SSでのオイル販売に力を入れている。SSサイドもキャンペーンを機に増販に取り組み、成果をあげている。新オイルは、APIの新規格「SN」、ILSACの「GF‐5」を取得しており、省燃費車を対象にしたオイルとして販売されている。久し振りの新オイルであり、油外収益の目玉商品として注目されている。この新オイルは元売間では、まだ出揃っていないが、近く販売に踏み切るため、全社で発売となる。SSでのオイル販売のシェアは30%と落ち込んでおり、これを機にシェア回復を狙う。
オイル販売はカーディーラーが、新車販売とパックでオイルを継続して販売する方策を実施している。ユーザー管理を徹底しており、オイル交換時期に合わせてオイル販売を行なっているもので、この方策が浸透している。
タイヤ販売も以前はSSでの扱いが多かったが、カー用品店にシェアを喰われ、さらにタイヤ専門店の進出もあり、SSでのシェアは減少した。タイヤメーカーもSSでは増販が期待できないとみて、自らシェアを確保するため直売の専門店を経営することになった。そのためSSでの販売は減少傾向を強めているが、その中でもタイヤの増販で成果をあげているSSもあり、タイヤ販売を見直す動きも出てきた。SSでは安全走行を奨励するためタイヤの気圧点検を実施、これを機にタイヤ交換を奨めている。
車の整備はハイブリツト車の普及で専門的な技術が求められが、元売は新しい研修コースを設けるなど、点検整備で作業収入増を図るための支援を実施している。