2011.01.19 のニュース
値上がり局面で正念場に ―コスト増の早急な回収が重要に―
原油価格が90ドル/バーレル台と高騰しており、仕切価格値上げを受けて、販売業者もユーザー転嫁に取り組み、末端市況も値上がりしてきた。元売サイドは仕切価格を昨年6~7月から見直し、ブランド料の引き上げ、価格改定を算出する指標を直近の業転市況とするタイムラグの短縮など新・新体系に移行したが、その後初めての値上げ局面となる。そのため、今後も適正マージンが確保できるのか、試金石となる。原油の値上げ局面でコスト増を早急に回収しないと、原油が値下がりした際、市況が急落することになり利益を一気に吐き出すことになる。
今年度上期は原油価格が値下がり局面であっため、コスト安となり、末端市況も値下がりしたものの、大幅な値下がりもせず、市況は維持されたためマージンは確保され、元売、販売業者とも、久し振りに利溢が計上された。
元売も需要に見合った生産で対応したため需給はタイトで推移した。そのため業転市況は堅調で推移して値取りができた。仕切価格は業転市況に運動する方式を導入しているため、元売は、透明性と公平性は確保されていると評価している。
もっとも、仕切価格にはブランド料などが加算されるため、業転価格に比べると割高となっており、販売業者からは不満が出ている。販売業者は仕切価格に適正マージンを加算して販売すればよいことになるが、販売業者問での競争が激しくマージンを減らして販売することになるためSS経営は厳しくなる。HCなどは、結果的には割安の業転玉を手当てするため仕入れ面では有利となる。さらに薄利多売の商法で臨むため低マージンでの販売となり、一般SSは価格競争力で不利となる。
一方、元売のブランド料の引き上げでマージンが増加したことが、元売の利益を押し上げたとみて販売業者からは反発も出ている。仕切価格と末端価格との差であるグロスマージンを元売と販売の双方が分け合うことになるが、元売の方が多いというのが販売業者の言い分である。だが、双方とも適正マージンを確保することを狙って努力しており、最終的には、市況状況と力関係で決まるため水掛け論となる。
原油価格は昨年秋から値上がりしているが、実際にガソリンなどの末端市況が値上がりしてきたのは昨年12月からであり、ユーザー転嫁は遅れている。ちなみに石油情報センターの週動向調査でみると11月に132円/Lであったものが、12月末で134円、1月5日に135円、11日に136円に値上がりしてきた。12月から1月で4円の値上がりとなっているが、さらなる値上がりが見込まれている。
原油価格は9月(平均)が78ドル、10月が82ドル、11月が84ドル、12月が89ドルへ値上がり、足元では91ドルと高騰している。当然、先物、業転市況も値上がりしており、仕切価格も値上げとなっている。ここにきて原油価格は100ドルを突破するとの見方も出ており、08年7月の急騰(145ドル)を予想するむきもある。すでにブレントは99ドルで100ドルに迫っている。
原油価格の高騰で石油業界も危機感を強めているが、コスト増をユーザーに直ちに転嫁することは難しく、ガソリンの場合は、周辺の状況を見るため時間もかかり遅れている。