日刊ニュース

2010.07.13 のニュース

SSの新たな負担に配慮を

消防庁は先月28日、危険物規制に関する改正省令を来年2月1日から施行すると発表した。老朽化した地下タンクに対する漏洩対策を義務付けるものである。すでに案の段階で全国各地のSS事業者から悲鳴が上がっているように、この規制強化に対する業界の戸惑いはますます深刻さを増している。国はこの負担を強いられる中小SS事業者の切実な声を真剣に受け止めてほしい。
 危険物施設の腐食劣化による流出事故が増加していることから、消防庁は「既設の地下貯蔵タンク等の腐食の評価手法及び評価結果に応じた合理的な点検・保守管理手法の調査検討会」を設置し検討してきた。その結果、義務付けの対象となるタンクは、直接、地下に埋設されている1重殻タンクで、「設置年数」、「塗覆装の種類」、「設計時の板厚」の3要素を加味して決まる。「腐食のおそれが特に高いタンク」の場合はFRP内面ライニングまたは電気防食を、「腐食のおそれが高いタンク」の場合は前記の措置か常時監視装置(高精度油面計)を設置するなど、流出事故防止対策を2年以内に講じることになる。
 地下タンクにこれらの措置を施すためには膨大な費用が必要となる。仮に1SSに4本の地下タンクが埋設され、すべてが措置の対象となれば中小事業者の場合、経営の存続を脅かすほどの負担となる。
 SSは開業に際し、ガソリンや軽油を安全に消費者に供給するための規制に沿って、大きな費用を投じて地下タンクを入れ、堅牢な施設を建設し、消防の厳しい完成検査を受けたうえで営業をスタートした。
 こうして開業したSSが、先月のこの欄で指摘したように平均的なSSがこれまで40年間にわたりガソリン、軽油を売り続けたとすると、1SS当たりおよそ29億円の税金を徴収したことになる。こんな効率的な徴税マシーンはほかにはない。
 だがここにきて規制が変わり、SSは漏洩防止のため新たな負担をしなければならなくなった。しかし、規制緩和のトップバッターとして自由競争を求められ、激しい競争を繰り返してきたこの業界で、その改正に伴って発生する新たな設備投資に対応できる事業者は少ないのが実態である。国は、大きな設備投資を求められながらも、極めて効率的な徴税マシーンとして貢献してきたSSに十分な配慮を行うべきである。

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