日刊ニュース

2011.04.12 のニュース

1ヵ月~再び消耗戦に走る愚

大震災発生1ヵ月。
 被災地でなんとか稼働できたSSは、乏しい在庫をにらんで、被災当事者のスタッフと事業者が、長蛇の車列に頭を下げて詫び、緊急車両の動きをサポートし続けた。被災したSSは一日でも早く営業が再開できるよう、復旧に全精力を使った。動力を失ったポンプを、人力で補った。大津波が襲った一帯では、灰燼に帰したSSが多数出た。福島・浜通りからは多くの生活者が避難されたが、少なからず残留された生活者をサポートするために、稼働し続けようとするSSがある。
 元売側では、被災直後に燃料油を求める人・施設への供給が滞り、それを挽回する工夫が系列横断的に断行され、その兵站線をより強く、より太くする努力が継続されている。仙台、鹿島、千葉の3製油所は、生産活動が停止したままだ。
 この間に、原油の世界では棒上げ相場が出現している。にもかかわらず、震災直後に干上がったPB量販店が先陣を切る形で、この国ではガソリンが値下がりに転じた。彼らが入手できなかった数日後には、誰かが販路を開き、その販路を支える元売が登場したのだろう。復旧への道程が依然として遠い被災地を傍目に、その外側では再び安値消耗戦の火蓋が切られようとしている。
 原発停止・事故によって失われた電力を補うために、その一部は石油火力が補う。これに必要な重油を得るために、ガソリンなど白油の需給が緩む。こうした図式は想定の範囲内だったが、それよりも目に見えない恐怖が、より大きな懸念材料になろうとしている。停電と放射能による経済停滞と生活者の引きこもりによるダメージが、全国のSSに覆い被さろうとしている。
 油外収益が急収縮し、過剰となっているにもかかわらず、ガソリンの売れ行きが急速に鈍る。そこに消耗戦に走ろうとするSSの姿は、被災地で奮闘するSSの姿とは決して重ならない。
 再び震度6強の地震に見舞われた被災地。復旧して稼動を再開していたSS、油槽所の多くが、広範な停電により再び稼働停止となった。手回しで支え、自家発電のための燃料を手当てする。消耗戦を好むような輩には、貴重な燃料油を一滴でも渡さない。これが多くのSSが元売に求める理想的な姿である。消耗戦一番風呂SSへの供給は無用だ。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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