日刊ニュース

2011.04.14 のニュース

全壊SSの撤去など難問山積 ―業者、災害対応型SSの増強も求められる―

東日本大災害後の復旧が進み、東北地区の油槽所が再開され、SSも元売系列では90%が稼動する状況となってきた。被災地には津波で全壊・修理不能なSSが約200カ所あり、復旧の難しいところもある。町そのものが全壊し、仮にSSが復旧しても経営ができずに撤去しかない場合、その撤去費がないため放置となるケースが出てくる。今後、復旧作業が進めば、SSの撤去問題が出てくるが、国の助成が必要となる。
 被災地周辺のSSでは営業が開始され、ガソリン、軽油の供給も確保されたため、行列はなくなってきた。それでも7日深夜の余震の発生で東北地方が大停竃となり油槽所の操業が一時停止、SSが営業できず混乱した。停電は8日の昼頃には復旧して営業が再開されたが、SSでの停電は計量機のポンプが稼動せずにガソリンの給油が不可能となるもので、災害対応の自家発電機の整備も必要であることが再認識された。自家発電機を保有するSSは極くわずかであり、今後は緊急時に備えて各SSが保有することが義務化されることも予想される。
 今回の大地震では、停電でSSの計量機のポンプが稼動せず、ガソリンが給油不能となったケースが発生したが、過去においても、阪神淡路、中越沖地震でも経験しており、その経験が生かされていないことになった。もっとも、口で言うのは簡単だが、各SSに設置するとなると費用がかかるため容易ではない。
 エネ庁の助成で地震災害対応型のSSの設置が進んでいるが、現在のような赤字経営が続いている状況下での設置は難しいのが実態である。国の支援で実施されているが、その予算も削減されており、元売も対応しているが、本来は販売業者が自ら保有すべきである。それには適正マージンを確保して利益を計上することが不可欠である。SSは電気がないと給油ができないことがあまり知られていない。今後は災害で停電になってもガソリンの安定供給に対応できる設備を完備することが求められる。そのためには、設備投資可能な利益を確保することが基本となる。
 さらに、現在問題となっているSSの老朽化対策に対する投資も迫っている。法律(消防法)で実施となることが決定しているが、全石連では施行の延期を要請している。油流出事故の防止対策だが、今回の地震でSSを取りまく安全性が求められることになり、販売業界としてはさらに厳しい状況となりかねない。
 今回の東日本大震災でSSを取りまく環境は大きく変化した。ガソリンの供給不足による混乱などで、ユーザーも石油製品がいかに大切であるかを認識することになり、SSの存在、安定供給の重要性を訴える機会となった。
 販売業者の対応は、元売の供給カットを受けて、SS店頭では数量を制限して一回20Lという方式で販売するなど一部で混乱が生じたものの、便乗値上げとの批判は出ず、冷静な対応で臨んだことが評価された。
 今回は、元売が震災直後に仕切価格の据え置きを打ち出しこともあり、末端市況は安定して推移した。2月末から3月初めにかけて原油価格が急騰したため仕切価格が値上げとなり、ガソリンの末端市況は急騰したが、震災後は安定して推移したことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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