2010.07.15 のニュース
「ねじれ」による混乱回避を
11日の参議院選挙。結果は民主党の過半数割れである。政権交代が行われた昨年夏以来、国会は再び「ねじれ」状態になった。「ねじれ国会」について石油販売業界には苦い経験がある。
2年前の08年4月1日、前年末の税制改正議論で延長方針が決まっていたガソリン税と軽油引取税の暫定税率が、衆議院では可決したものの、野党が多数を占める参議院では審議拒否の状態となり、3月末で暫定税率の期限が切れてしまった。税率が大幅に変わるというのに、財務当局からは事前に税の扱いについて、なんの配慮もされなかった。期限切れ翌日の4月1日以降、リットル25円安くなったガソリンを給油しようと顧客が殺到。業界側が「在庫分はまだ旧来の税金が含まれている」と説明しても説得力もなく、ほとんどのSSが在庫の暫定税率分を自ら被って値下げしなければならなかった。
1ヵ月後には、衆議院での再可決で再び税率が戻されることになったことから月末にかけて再び顧客が殺到するなど消費者は右往左往し、業界は大混乱に陥り被害を受けた。国会の「ねじれ」が国民や企業活動に直接影響を及ぼした極めて典型的な例といえるだろう。
しかし、衆議院と参議院が「ねじれ」という状態にあっても、国民生活や経済への影響、さらには石油販売業界の混乱回避という考え方があれば、このような混乱は避けられたに違いない。国民不在の、お互いに党利党略を優先した政治の結果があの混乱であり、我々は犠牲になったのである。
さて、これから年末にかけて来年度に向けた予算案や税制改正案などが議論されることになる。ここで決められた法案が、年明けの通常国会で審議され正式決定するのだが、「ねじれ国会」が続いていた場合、与野党で主張が食い違う法案は可決・成立することができず、立ち往生することが予想される。
この状態は当然、わが石油販売業界にも影響が及ぶことになる。最大の課題となった消防の省令改正に伴う老朽タンクの漏洩防止対策の義務付けに対し、我々は今後、業界を挙げて支援措置を求めていく方針だが、与野党が折り合ってこうした要望にきちんと応じてくれるのかどうか。国民の投票による結果とはいえ、今度の「ねじれ国会」が再び国民生活や経済・企業活動を犠牲にすることのないよう強く望みたい。