日刊ニュース

2010.07.21 のニュース

ガソリン夏場商戦 ―新々体系が浸透するか否かの試金石―

 ガソリンの末端市況は小幅な値下がりを見せているが、安定して推移している。石油情報センター調査(12日時点)では、135.6円/Lで前週の136.1円に比べ0.5円の値下がりとなっている。平均では四捨五入で136円となり、前週の横ばいとなっている。5月24日の140円から連続して値下がりとなっている。
 最近の首都圏の市況は、HC、量販店の安価が122円、街道沿いSSは128円が中心、都市部は130円台に乗せている。堅調地区は郊外の安値に影響を受け値下がりしているが、今のところ大きな値崩れは発生していない。これから夏場商戦に入るため、新々体系が浸透するか否かの正念場を迎える。
 一方、原油価格(WTI)は7月初旬は72ドルに下落したが、再度77ドルに値上がりしてきた。70~80ドルの価格帯の幅で推移している。原油価格はアメリカの景気、株価、投機資金の流れの影響を受けて反応しており、常に変動しているが、70ドル割れ寸前になると、思惑が働き反発して値を戻す。同様に80ドルを超えると見込まれると値下がりする状況が続いている。原油の先物市場は株・債権・通貨のどの市場も規模が小さいため、今後も金融的な要因で大きく変化する。実需面でみるとOPECの余剰生産能力、消費国の在庫から見て供給余力もあり60~70ドルと見られている。
 原油価格の変動に連動して国内の先物、業転市況は変化する。原油価格には直ちに先物が反応するが、業転市況は遅れて連動する。原油価格が値下げ局面にあったため、まず先物が下落した。そのためガソリンの先物と業転市況(陸上物)との問に3円程度の価格差が生じている。先物の値動きの方が速く、変動幅が大きいため、仕切価格の指標として使うことは難しくなっている。そのため大勢は業転市況(陸上物)リンクを採用している。天坊石油連盟会長も「本来ならば先物も指標とすべきであるが、流動性が低く採用するのは難しい面もある」と述べている。
 元売各社の仕切価格体系の見直しは、コスモが4月から、JX、昭和シェルが6月から、出光が7月から実施している。選定期間の変更、ブランド料の引き上げとなり、販売業者からは反発が出ているが、新々体系が出揃った。天坊出光会長は「実施して間もないため定着したか否かは分からない。コスト、ブランド料の算出には各社間で大きく違うことはなく、ほぼ同水準になるのではないか」と述べている。
 販売業者からは、仕切価格の実質値上げとなり、業転市況に比べると価格差が生じ仕切価格は業転市況に比べると割高になったと不満が出ている。適正マージンを狙ってユーザー転嫁に取り組んでいるが、仕切価格の価下げ、末端市況の下落局面と重なっため、新々体系が浸透したか否かは分かりにくい状況となっている。
 また、ガソリンの夏場商戦は本格化するが、この時期が仕切価格体系の見直しが定着するか否かの試金石となる。末端市況が安定して推移することを見込んでいるが、ガソリンの販売数量が落ち込むと価格競争が展開されるとの心配が出ている。各社は減産で対応しており、在庫は低水準で推移しているため、値崩れはないと見られる。

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