日刊ニュース

2010.07.29 のニュース

論説 廉売監視でSS減を抑制する

3月末に4万ヵ所ぎりぎりまで減り、現在は大台を割り込んでいると推定されるSS数。ピーク時から2万ヵ所、3分の1という猛烈な縮小だ。最近の2年間の減少率は年4%を示し、2~3%台だったそれ以前を上回るSS減が進んでいる。
 ガソリンの内需も6000万KLを割り続け、工ネ研の今年度の見通しでは、ほぼ横ばいを維持した昨年度から再び減販に転じ、150万KL減の5600万KLまで落ち込むと予測されている。ピーク時比較で530万KL、9%近い減販だ。
 SS減少率とガソリン減販率に大きな〃乖離〃があり、残ったSSにとっては減販率をカバーしてもなおSS減少の〃余禄〃が生まれそうだが、現実の姿はそのようにはなっていない。SSピーク時は特約店・販売店運営のフルサービスが主役だったが、現在は元売子会社がセルフを武器に一大勢力を形成したのに加え、安値によって既存業者を駆逐し、市場を支配する意図を公言してはばからない量販店が存在感を増したように、多様な〃プレーヤー〃が存在するようになった。そして、合理化努力によって運営を維持していても、競争単位の減少による増販というメリットを、ほとんど享受できない従来型のSSという構図がある。
 ガソリンの明確な減少が予想され、従来型SS数が減少する中で、最も懸念されるのは確信犯的な量販店だけではない廉売の横行だろう。
 全石連が集計した今年初めから6月までの不当廉売申告事案は191件あったが、公取委の措置が確認された119件のうち〃注意率〃は66%(79件)にも達していることが判明している。今年1月から不当廉売の罰則が強化された改正独禁法が施行され、また、価格と費用の判断基準がガイドラインで示されたことを受け、申告件数は予想通り増加しているが、それにしても〃注意率〃の高さは異常ではないか。
 価格競争が常態化している50地区を選定し、今月から価格動向調査に入った工ネ庁のウォッチ体制も不当廉売が与える危険性が前提にあり、全石連もエネ庁調査と連動する形で、廉売が周辺SSにどのような影響を与えているかを把握することになった。これらは減販時代の価格競争の行き着く先の廉売が、石油販売業界の体力を著しく損ない、SS減を促進させるという重大な懸念を回避するための試みである。

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE