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「集客力」高め活す 「カーケア」重視の方向へ 2003年02月24日更新

SS業界は、昨年をひとつの“出発点”として、“フルサービスSS”と“セルフSS”のすみ分け形態が常態化したといっていいだろう。
 それまでは「セルフSSもフルSSも元売の傘の内なのだから、セルフに対し特価対態をするな。セルフの安売を許すな」という声が数的にフルSSが多いSS業界の態度だった。
 しかしながら、昨年1年間を通じて“セルフSS”は月間100カ所のハイペースで増殖しつづけ、これを推進しているのは元売そのものであることが明確になるに及んで、「すみ分け」を時代の潮流として受け止めざるを得ない空気が定着してきたといえる。フルSSとセルフSSの価格差3円/Lは自明の事実となってきた。
 その中で、セルフSSのガソリン安値量販姿勢に対して、フルサービスSSは「カーケア重視」か「セルフに対抗して安値追従」かを迫られる事態となっている。
 このコラムで前述したように、安値攻勢に“安値”で対抗したとしても、現状では経営的に採算が悪化するばかりで、“フルSS”にとって赤字を累積する“スパイラル”状況に陥いることは明らかだ。
 後決めの“値決め”に期待しても元売、特約店自体がそれまでの赤字解消が出来ていない状況だから、現状では期待できるものではない。事実最近の事例をみても、3~4カ月も結着がつかないまま持ち越されているのが実情だ。
 一方、SSにとっての「カーケア」をめぐるビジネスチャンスは増加している。道路運送法の規制緩和でドライバーの保守管理義務が強化され、ドライバーの「セルフチェック」項目が15項目にわたって義務づけられた。しかし現状は車のハイテク化でドライバーが「自己チェック」出来得ないメカニズムも増えており、何らかの専門的な知識、技術による「カーケア」が必要になってきた。
 こうしてドライバーに代わり点検・点検・メンテナンスを行なうスポットの必要性は増しているが、無料点検スポットではチェックが充分でないという声も強い。
 その点、専門的な知識・技術をもった「点検」、軽いへこみやキズを修理する「軽整備」、塗装面の保護の為には欠かせない「有料洗車」などフルサービスSSが得意としている分野にとって、チャンスは増えているのである。
 そういうところから「カー・ケアステーション」として位置づけられた“フルサービスSS”が各地に増えているが、さらに進化した形で自社整備工場を完備した本格的な「カーケアステーション」が今後の“フル”のひとつの方向として各地で試みられている。
 本来“フルサービスSS”はその「集客力」においてかなりのものを持っている。現在の不況下では1日1人も客が来ないという商店は全国的にみても多いだろう。しかし「フルサービスSS」で1日1人も客が来ないという事態はあまりないのではないだろうか。
 しかも「フルSS」とドライバーの接触は、車関係業種の中で最も多い。燃料補給だけでなく、カー用品、カーケアのニーズは本当はSSに於て最も高いといえる。ところが、これまでのところ散見する限り、カー用品、カーケアの料金体系に於て、必ずしも市場を反映したものになっていないのではないか?「カー用品」に於てもただ陳列しているだけという感じのSSも多い。一方ではホームセンターやカー用品ショップという安値志向の店があるのだから少々は市場傾向に配慮した販売姿勢が“油外”にも必要な時期に来ていると思う。
 “フルサービスSS”は生き残れる。ガソリンでは“セルフ”や“安値SS”を追従せず、優良客を基礎票とした“油外”のための集客作戦を敢行する。“油外”のメイン商品を「カーメンテ」におき完全な「カーケアステーション」に変身を遂げることが生き残りのひとつの道のような気がする。


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