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「消費税をどうする」 2007年11月20日更新

消費税は徴収漏れがほとんどなく徴収に費用もかからない非常に効率のよい税金である。さらに税収額も消費の金額に何パーセントかけるかによって自由に調整でき、巨額の税収も可能となる。またお金を使った人だけに相当額の税金が課されることから、国民の間に不公平感を生むこともない。このように考えると巨額の財政赤字に悩む日本国としては、その補填策として消費税の増額を目指すのは理解できる。

日本の消費税率は現在5%であり、これは世界を見回しても最も低い国といえよう。因みに最も高いスウェーデンでは25%となっている。たとえば日本がこれを10%にまで引き上げたとしても、お隣の韓国と同率でありまだ世界でも低い国として分類される。しかし小泉元首相はその長期にわたる在任期間中に幾度となく消費税率引き上げの可能性を質問されたが、その都度自分の在任期間中には行わないと繰り返していた。

長く続いたデフレの時期に消費税を増額すればさらなる消費の落ち込みと一層の景気の悪化を招くと危惧したからだろう。その後日本の首相も小泉から阿部へと入れ替わり、株価の回復に見られるように日本経済も立ち直りを見せてきた。そろそろ消費税率引き上げを実現しようとする矢先にとんでもないことがおきた。参議院選挙における自民党の大敗である。

いかに消費税率の引き上げに合理性があり必要性があるにしても、消費税率を上げればすくなくともその分諸物価は上昇し国民は不満を持つだろう。そうした最中に選挙を行えば自民党が再び負ける可能性が高くなる。したがってこの消費税問題はつぎの衆議院選挙の後に先延ばしとなろう。

次の選挙で自民党が勝てば、消費税率引き上げはすぐに表面化すると思われる。しかし勝利の余勢をかって闇討ち的に一気にやるのは好ましくない(どうも最近の自民党はこうしたやりくちが目に付く)。では自民党が負けたらどうなるか。政権は民社党に移るのだから、消費税の行方は民社党の手に委ねられることになる。その民社党はこの問題をどう考えているのだろうか。これがまったく見えてこない。

やはり消費税をどうするのかを選挙と関係なしに自民・民社間で良く議論して国民の理解を深めていく努力をするべきだろう。いずれにせよ上げざるを得ないにしても、その詳細に関しては様々な選択肢があるはずだしそうした議論を選挙前につくして、国民がどちらが勝ったらどうなるかを理解しておくことが必要なのではないか。これはテロ新法よりもはるかに重要なことだと思うのだが。

(一本杉)

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