2010.12.17 のニュース
SSの過疎地・離島問題表面化 ―国・地方自治体の支援が不可欠に―
SSの減少が加速しているため、ガソリン、灯油などの安定供給をめぐって過疎地問題、離島問題がク口ーズアップしてきた。寒冷地の山間部で高齢者が生活している場合、SSが閉鎖され灯油の配達がなくなり苦慮しているとの声が出ていたが、最近では深刻の度合いが進み、過疎地問題が死活問題となってきた。
全石油も過疎地問題を提起してきたが、工ネ庁でも検討することになった。それだけ身近な問題となってきたことになり、マスコミでも取り上げられている。
SSの減少は、自由化時代に入り、価格競争の激化で進行してきた。利益が確保できず、SS経営が赤字となれば廃業することになるのは当然の成り行きである。
規制時代は適正マージンが確保されていたこともあり、僻地でもSS経営が採算に乗っていた。その結果、ピーク時は全国に6万か所のSSが設置され、石油製品の安定供給が確保されていた。だが、自由化を機にSSが多すぎるとの見方からSS減らしが加速した。元売も不採算なSSを減らすことが、高率化を追求する方策であるとして積極的に取り組んだ。
同時にセルフSSが解禁となりセルフが増加することになった。その結果、フルサービスSSが一気に減少し、現在はセルフSSが8000カ所となり、全SS数は4万ヵ所に減少。さらに、減少傾向は今後も続くものとみられ、3万ヵ所になるとの見方ある。自由化の行き過ぎを指摘する意見もあるが、規制時代に戻すことは難しい。
そのため、当然、過疎地問題が発生することになるが、その解決策となると難しい。赤字となってもSSを廃業せず経営するには、誰かが支援することが必要となる。石油業界が見切りをつけているSSを継続するには、国か地方自治体が支援するか、地域の住民が協力して支援することになる。いずれも資金が必要となり、予算措置が伴うことになる。
SSはサプライチェーンの最後の砦であるとされているが、経営の実態は苦しいため減少が続くことになり、減少に歯止めをかけることは政治、社会問題となってきた。
同じく離島問題も発生しているが、その背景は、輸送コストがかり、本土に比べ販売価格が大幅に割高であると指摘され、島民の生活に大きな影響を与えていることにある。離島でもSSは経営難であるが、島民への安定供給という重要な任務が果せられている。
とくに、08年の夏場に原油価格が急騰して145ドル/バーレルとなり、ガソリンの販売価格は183円と値上がりしたが、離島では200円相場となり、島民からも反発が出た。この急騰で車離れが進みガソリン販売が大幅に減少したが、離島では車は必需品であり、手離すことはできない。離島の場合は、内航タンカーでの輸送、油槽所を経てのSSへの供給となるため、本土に比べるとコスト高となるのは当然であり、販売価格も高値となる。この高値を是正するには、共同輸送、油槽所の建設に対しての補助措置などが購じられているが、コストを下げるのは簡単ではない。
結果的には、コスト増を島民が負担するしか方策はないが、同時に国か地方自治体がどこまで支援できるかにかかっている。