日刊ニュース

2011.08.12 のニュース

原油高で石油開発は好決算 ―ここにきて原油急落で見通し難に―

 原油価格の高騰で4~6月平均のドバイは111ドル/バーレル、ブレントは117ドルの高値で推移したため、石油開発企業、元売の石油開発事業の4~6月の決算は増益となった。原油価格は前年に比べるとドバイは約32ドル、ブレントは40ドルの値上がりとなった。
 この原油価格高で元売の石油開発事業の経常利益はJX日鉱日石エネルギーが229億円(前年同期は174億円)で55億円の増、コスモ石油は132億円(88億円)で4
4億円の増益となっている。出光興産は営業利益で91億円(65億円)で26億円の増益となっている。
 石油開発業界では国際石油開発帝石は、売上高は2950億円(2239億円)で710億円の増収、経常利益は1783億円(1227億円)で556億円の増、純利益は4
01億円(320億円)で81億円の増益となっている。経常利益は巨額となっているのは、海外のプロジェクトが多く、利権料、産油国への税金が多額であるためである。海外の税金を相殺した純利益は402億円であり、石油開発業のハイリスク・ハイリターンとなっている。売上高利益率は元売に比べると高い。
 石油資源開発は売上高は524億円(465億円)で59億円の増、経常利益は55億円(61億円)で6億円の減益となっている。減益は持分法による投資利益が投資損失に転じたことなどによるもの。
 アラビア石油は、クウェートとの長期原油売買契約で3.8万バーレル/日の原油を販売しており、原油高で増収となっているが、開発・生産プロジェクトが遅れており、経常損失は5億円となっている。それでも前年に比べると15億円の改善となっているノルウエー北海のギダ油田(5%権益保有)は200バーレル/日の生産量を販売しているが、再開発案件のイメ油田(10%保有)では、海上生産施設の設置が7月に完了したが、生産施設の運転のための準備に時間が要するため生産開始は2012年4~6月に遅れることになる。エジプト・スエズ湾ノースウェストオクトーバー鉱区(50%保有)のオペレーターとして開発を進めているが、大規模な抗議運動で混乱が続いており計画を見合わせている。このようにアラ石を除いては、石油開発事業は原油高で増益となっている。
 原油価格が100ドルを超えているため、増益は当然である。産油国も財政面から70~80ドルを推移すれば、安心できる水準として認めているため、現在の水準を容認している。しかし、100ドルを超えるとアメリカなど消費国からみると高値であり、サウジなどOPECには増産を要請した。だが、産油国が増産に反対したため、IEAが対抗して在庫の取り崩しを実施した。その結果、原油価格は一時下落したが、再度、値上がりしたため、在庫の取り崩しに対して批判も出た。
 しかし、ここにきて原油価格は急落しており、見通しが難しくなってきた。WTIは80ドルを割る急落となってきた。今回の急落は、欧米の財政不安、景気後退、全世界的な株安、ドル安が引き金になって原油価格が急落している。この状況が続けば、石油開発事業にも大きく影響することになる。今のところ100ドル台を見込んで投資しており、このまま下落が続くと、一気に業績が悪化することになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE