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「尖閣諸島」 2004年12月03日更新

日本の南西の端に この島はある。 小さな島がいくつか並んでいるがいずれも無人島である。人が住めるような島ではない。 中国ではこの島を「釣魚島」と呼んでいるが 長い間漁船が位置を確認するための目印としての役割以外に さしたる意味を持たない島だったのだろう。

この島は現在日本が実効支配しているが 実は中国と台湾が共に領有権を主張
しており 韓国も権利があるようなことを言っている。このように一見無価値のように思える島の領有権を各国が主張する背景には無論軍事的な思惑もあろうが 地下資源の存在の可能性があるからだ。 

1968年に国連が行った海底学術調査により 油田もしくはガス田の存在の可能性が高い地殻構造がこの地域で確認されている。ただしこれは構造があるというだけで その中に原油やガスが実際に貯蔵されているか否かは 掘ってみないと分からない。そこで日本としても早速鉱区権を設定し 民間会社による開発活動を促進することにしたが 中国や台湾が領有権を主張しているため 現在に至るまで開発に踏み込めないでいるのが実情だ。

ところが最近 中国がこの島の近くで海底探鉱を始めたと報道されている。
中国はかって石油の輸出国であったが 経済成長に伴い石油の消費量が増え現在は輸入国となっている。したがって石油資源の開発には積極的であり今回の行動もこの一環であろう。 中国の経済水域圏内でのことのようなので日本としてもこれを止めさせることはできないようだ。 

しかし 新聞やテレビで 中国が石油資源を掘り当てたら 日本領内にある資源まで持っていかれる恐れがあると報道しているが これはおかしいのではないか。 もし中国が掘り当てたとしたら 日本としては探鉱投資をしないで資源存在の確認ができたことになるから むしろ有難い話であろう。 早速日本領内に井戸を掘ればよいのだ。 油田やガス田が国境を跨いで存在している場合 両方の国が採掘競争を行うのは普通のことである。

もっとも 今回の場合に本当に相応しい進め方は 日中両国でデータを共有しながら夫々探鉱を行い その結果も分け合うことだろう。 これまで動きがとれないまま無為に時間だけを浪費してきた尖閣開発だが 中国の探鉱開始により 話し合いでの解決の可能性が出てきたとも考えられ 日本の尖閣開発に明るい兆しが見えてきたとも受け取れるのだが。 政府の賢いやり方が期待される。

(一本杉)

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