コラム

過去のコラム一覧へ

「M&A」 2006年08月04日更新

Merger & Acquisition の略で企業の合併や買収を総称する言葉である。
1980年代初頭のアメリカでは、企業の急成長を志向する経営者の多くがこれを積極的に行って巷の話題をさらっていた。M&Aなくして企業の経営にあらずとでもいうような雰囲気であった。具体的には純資産や事業の将来性に比較して株価の低い企業を捜しだし、これにTOB(Take-over Bid)をしかけて買収もしくは合併を狙うものである。つまり財務会計面からの検討であり、その検討は徹底して行うが、それ以外の要素にはあまり目を向けていなかった。

その後M&Aの失敗例が数多く出てきて、アメリカでは今やあまり人気のある手法とはなっていない。なぜ失敗例が出てきたのかといえば、各企業が持つ固有の文化に重要性を置いていなかったからである。似たような文化を持つ企業どうしの合併であればこの問題は出てこないが、文化の異なる企業どうしとなると文化間の摩擦が頻発し、1プラス1が2を大きく下回る結果となりかねないのである。

ほりえもん氏や村上氏の話を聞いていると、M&Aがこのような経過をたどった手法であるということをご存知ないようにも思えるが、あるいは分っていてもやめられなかったのかも知れない。

ほりえもん氏の場合、あまりにも単純に財務会計的手法に頼りすぎたままM&Aに突っ走った。マスコミが彼をもてはやし政治家までもがこれに乗っかるにいたり、若い彼の足が宙に浮いたとしても不思議はない。まるで錬金術を手に入れたかのように錯覚し、証券会社や投資家も投資して儲かるうちは儲けておこうと彼を持ち上げ、そしてやがて欲にかまけた連中の夢は消えた。世の中はそれほど甘くないことを、彼は今実感しているだろう。

村上氏の場合は、文化というものに対する理解力が皆無ではないのかと疑える。その典型的な例が阪神球団の経営に言及したことである。阪神タイガースはまさに大阪庶民の文化そのものである。勝てば当然よろこぶが負けてもさほど悔しがらない。なぜならその文化に浸ることで喜びを感じているからである。ましてやタイガースのファンであることで金銭的な利益を得ようなどとは露ほども思っていない。こうした人達にもっと上手くやればずいぶんと儲かりますよなどと言ったところで通じるわけがない。銭儲けのことしか眼中にない下劣な男だと軽蔑されるのがオチである。ところが村上氏はおそらく、貧乏している連中に銭儲けを教えてやると言っているのになぜ喜ばないのだと不思議でしょうがないのだろう。こういう人がM&Aを仕掛けると失敗するのだ。銭と文化とどちらが大切で、どちらが高尚なものなのか、これをよく考えるべきだろう。

(一本杉)

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE