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ガイアックスとガイアエナジー 開発・特許・車両事故めぐり、真っ向から対立 2001年08月28日更新

アルコール系自動車燃料「エピオン(ガイアックス)」を製造・販売するガイアックス(本社福岡、吉岡純太郎社長)は23日、千代田区紀尾井町のホテルニューオータニでガイアエナジーインターナショナル(本社・カナダ)との業務提携と新商品名「EPION=エピオン」の発表記者会見を行った。
 会見内容は端的に言うとガイアエナジー(本社東京・銀座、金濱道啓社長)が製造・発売する「ガイアックス」とはまったく違う商品だという説明が主な内容だった。商品名変更は、違う商品で同一名の混乱を避けるためと「ガイアックス」の商標をガイアエナジー社が持っているために行ったものだ。
 ただ特許権の流れや、ガイアックス社がガイアエナジー社への供給を停止した過程が今ひとつ分かりにくかったため、質疑応答ではその部分に質問が集中した。しかし何度聞いてもその流れが、あまりにも複雑・難解な感は否めない。
 問題はガイアエナジー社とガイアック社の主張が180度違うということだ。もともと九州地区の販売会社として出発したガイアックス社が、ガイアエナジー社の原料調達・資金的な問題から「ガイアックス」のシンガポール工場で製造された燃料をガイアエナジー社に供給する契約を結んだ。
 ただこの前後の流れについて、「この商品をだれが開発したのか」「だれが製造権をもっているのか」「特許関連はどうなっているのか」という点で両者の言い分が180度違ってくる。
 ガイアックス社は記者会見で「当社はガイアエナジーインターナショナル(カナダ)からライセンスを取りガイアエナジーに供給していたが、ガイアエナジーが勝手に韓国などに工場を作り製造し始めた。その製造方法や成分も特許元のガイアエナジーインターナショナルが決めたものと全然違う。再三当社やガイアエナジーインターナショナルから注意したがまったく聞かない。ガイアエナジーも当社から買わなくなり、契約を打ち切ると言ってきたので供給を停止した」(吉岡社長)と話す。
しかしガイアエナジー社側はまったく違う説明をする。「そもそも原料などの資金的な調達面の問題から、ガイアックスが『任せてほしい』というからガイアエナジーがシンガポールに持っていた工場をガイアックスに任せただけのこと。韓国の工場に関してもお互いの話し合いの元で行われている。勝手に作った、というのがよく分からない」(ガイアエナジー広報部)とガイアックス社の言い分に首をひねる。
 特許の問題に関しても「もともと日本人2人(2人はイクシオンの社長)、カナダ人1人で出した共同特許をカナダ人が買い取ったのを当社が提携してライセンス生産している」(ガイアックス)、「そもそも日本の特許庁に出願したとき、『混ぜただけの燃料なので特許に当たらない』と言われた。そのため『ガイアックス』に関しては特許自体がないし、当社は特許を持っているとは一言も言った覚えはない。カナダの企業に関しても向こうから音信不通になった」(ガイアエナジー)と両者の話の論拠身体が違っている。
 ホンダ車の燃料漏れ火災事故については「韓国での製造分に関して、本来の工程をまったく守っていない結果と聞いている。本来地上でブレンドしなければならないものを、タンカーでまとめてブレンドし輸送中混ざるようにしたのが原因らしい。また成分的にエタノールが混ざっていることが漏洩の最大の原因だが、当社の『ガイアッグス』には一切エタノールは混ざっていない」(ガイアックス)、「当社はエタノールを一切使っていない。勝手なことを言われても困る。朝日新聞にそのようなことが載っていたが、この話を聞いた韓国の工場は『何を言ってるんだ』と怒っている。大体『エピオン』の成分表は、当社の『ガイアックス』と同じにしか見えない」(ガイアエナジー)とかなり見解が食い違う。
 また今年1月にガイアエナジー社供給分の給油所のノズルのゴムが溶けたと主張するガイアックス社は、「関東の給油所で起きたと報告を受けている。こちらは玉の流れを完全に把握している。当社のものではないと言い切れる」とするが、ガイアエナジー社は「関東の販売店で起こったと言うが、そんな報告はまったく聞いてない。おかしな話ですね(笑)」と、もはや何が事実なのかすら分からなくなってきている。記者会見でガイアックス社は、「ガイアエナジー社傘下のガイアックス根絶を目指す。ガイアエナジーインターナショナルも環境省とすでに接触している。どちらが本物かー目りょう然」と胸を張るが、ガイアエナジー社側も「記者会見に参加したJLMケミカルズの社長は『販売店が増えるから来いと言われたから日本に行くが、何をしに行くのかよく分からない』と言っている」と言い返す。
 供給停止に関しても、「契約があるので、少量の玉を買うつもりはあった。しかし供給を停止すると言ってきたから仕方ない」(ガイアエナジー)、「ガイアエナジー側が契約を破棄してきた以上、仕方ない。しかしこれは契約違反」(ガイアックス)と違う。
 ここまで両者の言い分が違うと、まるでキツネに化かされているようだ。しかし供給問題に関してはガイアックス社は訴訟を起こしており、この問題はこの先泥沼状態になる可能性も出てきた。

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