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「地球は急増する人口を収容できるか」 2008年03月11日更新

西暦1800年における地球人口は10億人であったとされている。これが1900年には20億人と倍増している。 つまりここでは人口の倍増に100年を要しており、増えた人口は10億人である。さてそれではその後現在までの約100年を経過した今ではどうなっているだろうか。 現在の地球人口は65億人であり、同じ100年で3.2倍に膨張し、増えた人口は45億人である。たしか1960年代の地球人口は30数億人であったから、それからの約40年間で人口は倍増しており増えた数は30億人以上ということになる。あきらかに人口は加速度的に増加しているのだ。

では今から100年後の西暦2100年ではどうなっているだろうか。定説では人口は年に8,000万人ずつ増えているということだから、単純に計算すれば100年で80億人増えることになる。つまり2100年における地球人口は145億人ということになる。実に200年前の人口の14.5倍である。しかしこれは単純に年間8,000万人の増加を積み重ねただけであり、加速度的な増加を計算に入れるとこれを大幅に上回る人口になっている可能性が高い。さてこれだけに増えた人間がこの地球上で一体どのようにして生きていくのだろうか。

人口が増えれば、最も気になるのが有限の地下資源の供給面である。例えば石油は今世紀半ばまでは供給できるだろうと考えられてきたが、これは従来の人口を前提にしたものであり、人口が100億を超えるようなことになれば消費に見合う供給は難しく、価格は暴騰しエネルギーの中枢に位置することは難しいだろう。燃料としての石油の場合消費したら跡形も無くなるのであり、他の地下資源たとえば鉄のようにリサイクルすることができない。リサイクル可能なエネルギー源を見つけるのが急務となっている。

食料の供給も大きな問題となるだろう。すでに穀物などの輸出を制限する国が出てきているが、食料の生産が人口の増加につれて増えていくとは思えない。大豆やトウモロコシから燃料を作るなどは論外である。食料と水は人間が生きていくうえで必要不可欠なものであり、この供給を得るためには人間は何でもするだろう。したがってこれらの供給が不足すれば奪い合いが起こるのが自然である。金銭を使っての奪い合いか、あるいは力を使っての奪い合いが起こると見てまちがいない。たしか南米大陸のことだと記憶するが、昔ねずみが急増して食料がなくなり、ねずみの大群が海に向って身を投げるという話しを読んだことがある。同じようなことが人間でも起こりかねない。

日本では今少子化や人口減が困った問題として取り上げられている。人口の減少は経済の成長力を弱め国の体力を衰弱させると言う。こうした考えは新世界の恩恵を受けた欧米において生まれたものであり、資源は無限を前提として、その恩恵をたっぷりと受けようとするものだ。資源は有限、人口は急増というときにとるべきものではない。日本はエネルギー自給率ゼロ、食料自給率40%の国である。人口の増加は輸入依存をさらに進めることになる。以前にも述べたが少子化や人口減は合理的なのである。まず自分の身のまわりから来るべき世界規模の大騒乱に備えよう。

(一本杉)

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